大阪の朝鮮第四初級学校がなくなったことについて


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2023年も残り少なくなったが

印象に残ったテレビドキュメンタリーより。

8月19日に放送された

NHKのETV特集

「チェーサーが終わる日ー在日コリアン 世代を越える葛藤ー」

を見た。

コリアンタウンがあることでも知られる

大阪市生野区にあった

大阪第四朝鮮初級学校が

昨年度限りで閉校したことと

その歴史と支える思いを伝えた番組だった。


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第二次世界大戦後に日本に残った

朝鮮出身の人々(在日コリアン)が

次の世代に民族のアイディンティティを伝えるために

1948年に創立、

1968年に現在まで残った校舎が

落成したときは多くの同胞が

ここを訪ねて大いに喜んだそうだが、

昨年度までの生徒数は40名。


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少子化自治体からの支援打ち切りなどもあり

大阪府内の朝鮮学校

8校から4校に減らすことに

したのだそうだ。

そこで思い出したのは

2019年に黒田清さんを偲ぶ集いで出会った

大村和子さんのことだ。

shiraike.hatenablog.com

大村さんは

城北ハッキョこと

北朝鮮初級学校を支える会で

同校の支援を行っている。

HPやWEB記事で確認したが

なんと城北も昨年度限りで

閉校していたのだ。

こちらも幼稚部を併せて児童数は38人に減っていたのだ。

www.asahi.com

「子どもたちの輝かしい未来のために

 朝鮮学校を支援します!」と

ことしの集いに寄せられた言葉の意味は

そうだったのかと

やっとわかった。

朝鮮学校は「北朝鮮のスパイ養成機関」と

勘違いされたり、ヘイト攻撃を受けたり

前述の補助金打ち切りや

ミサイルなど様々な圧力を受けながらも

地域とともに支えられてきたが

その一方で在日コリアンの中でも

母国は悪い国なのかと親や先生から

子どもに聞かれても答えられないという葛藤もあった。

だからこそ人間として強くあってほしい、そして

「恥じることはない、絶対恥じてはいけない

 チョソンサラン(朝鮮人)としては」

(第四初級学校の教頭を務めた高佳恵さんのインタビューより)


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(最後の学校芸術祭より)

初級学校で人間関係を大切にして

そこから次へと飛び出してほしいということ。

番組では初級学校を卒業後に

日本の私立学校に進学する児童とその家族のことも

取り上げられていて

アイディンティティか学歴か(日本の)の

選択の難しさもあった。

それでも朝鮮初級学校があったことは

在日コリアンの子どもたちにとって

決して無意味なことではないということも

よくわかった。

どうか大人たちは

これ以上この子たちを悲しませ

未来を奪うことをやめてほしい。

www.nhk.jp