おとといの東京新聞の夕刊。
行政における日本語のローマ字表記の変更を
70年ぶりに変更することになったという記事だ。
分かりやすい例として
「ti」を「chi」、「zyu」を「ju」、
「si」を「shi」にするということ。
これまで1954年(昭和29年)に内閣告示で
一般に国語で書き表す場合に使えと言われた「訓令式」から
にわかに改めがたい事情がある場合に限り使うこととされた
「ヘボン式」にするというが、
学校教育の場では確かに「ti」「zyu」「si」と教わっても
実社会では「shi」「ju」「shi」というつづり方を
当たり前のように見てきた。
その違和感でモヤモヤしたことが何度もあったっけ。
「学習指導要領も、小学3年の国語で、
ローマ字について内閣告示を踏まえた学習をするよう求めている。
だが、実際には訓令式は定着せず、
世の中ではヘボン式の方が広く使われている。
パスポートや道路標識にもヘボン式が採用されている。」(記事より)
これはもう当然のことであり、まさに「実態にそぐわず」(同)。
行政側が見直してくれるのはとても良いことだ。
来年施行される改正戸籍法。
戸籍に「振り仮名(ふりがな)」の届け出が必須になり
それがなければ自治体が職権で戸籍にふりがなを記すことが出来るというが
問題なのはどれだけの国民がこの改正を知っているかということだ。
全国の市区町村は
住民票などで把握してきた氏名の読み方を参考にして
郵送で通知を送ることで本人に「照会」というのをやらせて
1年以内に振り仮名に誤りがあった場合には
性は世帯主、名は本人が「必ず」届け出をしてくれというルールになったのだ。
1年後に届け出がなかったり
自治体が勝手に振り仮名を誤って表記した場合は
「1回に限り」訂正が認められるが
それ以降は家庭裁判所の許可が必要になるのだという。
しかし自治体が膨大な事務作業に予算と時間を費やしても
正確な届け出が受理できるのかということと
「用いる文字の読み方として一般的に認められているもの」しか
ふりがなの届け出を認めないとする基準も設けられた。
これはキラキラネーム対策だというが
行政のデジタル化やマイナンバーの推進こそが
振り仮名の多様性とオリジナル化に一番フィットするのではないか?
むしろ、本人の届け出をきちんと尊重させて
誤りがあったら何度でも訂正できるようにすべきだし、
国は改正をしっかりと周知徹底して
自治体の作業がスムーズにいくための予算を確保すべきではないのか。
まさか、マイナンバーカードはそこまで想定してませんからって
言いたいのか?
「これまで戸籍に読み仮名がなくても全く問題なかった。
むしろ人の振り仮名を勝手に通知し、
確認できなくても1年程度で戸籍に記載してしまうというのは、
(本人固有の)アイデンティティーを侵すものではないか。」
「(事務作業の混乱によって)あちらの自治体で認められた振り仮名が、
こちらでは認められないということが起きかねない。
名前の読み方をどこまで認めるか、誠実に検討するほど行政の窓口負担は増す。」
「国は人民を一元管理したいのかもしれないが、必要性を感じられない法改正だ。」
(野村剛史【たかし】・東大名誉教授のコメント)
もっとも大混乱によって
ますますマイナンバーカードに全国民から大ブーイングが起きて
人気低下に歯止めがかからなくなるを私は思うが
果たしてどうなることやらだ。