「戦後78年の忘却の果てに」
「捨てられた日本人」「棄民」
先週8月5日にテレビ朝日で見た
「テレメンタリー2023」は
「彷徨い続ける同胞」。
戦前にフィリピンに渡った日本人が
現地人と結婚して家族をつくり
幸せに暮らしていたその親の子どもたちが
あの時の戦争で逃避行を余儀なくされ
親どころか兄が日本兵や抗日ゲリラに虐殺され
その後に米軍に保護されるも
戦後はフィリピン人から激しい圧迫を受けて
まともな教育どころか
日本名を名乗ることも許されず
さらにフィリピンの国籍法で
「父の出身国を国籍とする」としていることで
親を失った日本人の子どもたちは
「無国籍」の孤児になった。
残留2世である。
そして月日が経っても
苦境の中で母国に帰れないどころか
日本語も話せない、というより
日本がルーツであったことも隠して
生き続けてきた。それも貧困の中で。
番組ではその人々が日本人であることを証明するための
サポート活動も見せていた。
ある双子の姉妹は
父親がフィリピンに移住して現地人で結婚したという
公的書類に書いてあったことを掴んだ。
しかしその父親が実在したことを
日本で証明させなければいけないが
これまで300名以上が国籍を回復させている。
双子の姉妹は沖縄で父親の移民の事実が記録に残っていたことがわかり
さらに弟の孫(大叔父と甥との関係)がいたこともわかり
フィリピンに渡り戦死した話を聞いている
次の世代の親類にも見せてあげたいと話していたと。
当事者の高齢化が進み
4年前は1069人だった無国籍者が
いまでは493人に減少し
望みながら命が尽き果てた人もたくさん出ている。
サポートする側は日本政府に対して
一括調査を請願したがいまだに具体的な動きはない。
いずれは風化せるのだろうか。
絶対にあってはならない。
戦争による被害はその瞬間ではなく
終った後も重い傷として残る。
しかし多くの人々が
関心が持たなくなったときこそが
新たな戦争への足音へと近づくからだ。