7月最後の週末で
TBSテレビのドキュメンタリー解放区(31日深夜)で
両番組ともに取り上げたのが
「熱海土石流被害」のことだった。
あれから1年になるのに
いまだに本当の原因がはっきりせず、
元所有者と現所有者、そして
伊豆山地区にあった「盛り土」の対応で
それぞれの責任の擦り付け合いが続いているということを
2つの番組がまったく同じ構成で伝えていたので
いったい何をやってるんだという気持ちになった。
実際に、
あの事件(豪雨によるものだが人災だから)の後に
ニュースやワイドショーをにぎわせたのは
静岡県が原因を「盛り土」と特定して
その土地を所有していた人物を暴き出したことで、
悪いのはその所有者と行政指導をしなかった熱海市ということで
後は被害者(と遺族)との補償に関することが解決できればと
そう思っていた。
ところがどちらの番組も
いまの所有者は土石災害を起こす原因となった
「盛り土」をやっておらず、だからといって
止めたわけでもない。
前の所有者はリゾート開発、いまの所有者は運動公園を整備するために
盛り土をする必要があり、
熱海市もそれを承知しているはずだと反論したのだ。
さらに第三者委員会による評価でも
熱海市の行政に問題があることを指摘した上で
森林法に触れる問題でありながら静岡県も
その指導を怠っていたと指摘したことで
まさに「泥沼状態」になってしまったのだ。
「私はどこに出ても真実を語るつもりだ。
このままでは冤罪を許すことになる」と
取材カメラの前で語った元所有者A氏(顔と名前は伏せられたが)。
これに対して現所有者のB氏について
「これらの盛り土(元所有者がやった)については
全く知らなかったことでいまの所有者の責任ではない」と
現所有者側の河合弘之弁護士(東電原発訴訟以来の御無沙汰!)。
そして元副知事(現理事)は
盛り土について長年熱海市が放置していたことを問題視した一方で
録音テープが出てきた(TBSの解放区)ことで
これではみんな揃って加害者ではないのか、
全員揃って被害者側に謝罪しなければ収まりがつかないのではと
私じゃなくてもそう思ってしまうくらいだ。
そして、どちらの番組の最後は
静岡県が7月に施行された新しい盛り土規制条例を適用して
元所有者に、残った盛り土の撤去命令を出したということで
「おわり」となった。
しかし1年にもなって全てがクリアに解決しなかった
この問題の根深さは決して熱海の伊豆山地区だけではないと思う。
「あの災害がなかったら、自分の住んでいる所の
盛り土があったなんて知ることはなかったと思う。」
ある遺族がそう語っていた。
今週も猛暑だけでなく大雨や竜巻など突然の災害に警戒しなければ。
そのためにも全国津々浦々の「盛り土」を
いま以上にメスをいれなければならない、と思う。
(写真はドキュメンタリー開放区より。)