「明日のハナコよ!君は悪くない!」に続いて
再び東京(中日)新聞の社説より。
3月9日付。
「避難者の人権は画餅か」
画餅とは「絵に描いた餅」
つまりどんなに美しくても食べられないということ。
周辺諸国への避難民の移動が続いているが
「人道回廊」をつくられたはずが
途中でロシア軍の攻撃を浴びて
まさに命がけの脱出、そして
18歳から60歳までの男は国外には出られず
祖国のために戦わされている。
社説ではこの厳しさを知った
根本久美子さんの言葉から
「避難する権利」が蔑ろにされている事実を
深掘りしている。
「自分ではどうしようもない大きな力に巻き込まれ、
この戦争がいつ終わるとも、
いつ故郷に帰れるともわからない。」
いまのウクライナは11年前の福島と
同じなのだ。
根本さんは第一原発から30㌔の沿岸部に住んでいたが
爆発した原発家屋から煙がわきあがる瞬間を見て
放射能の恐怖におびえ県境を越えて避難した。
しかし指定避難区域外のために東京電力からの
賠償金が受けられず避難や生活のための費用は
すべて自己負担。さらにコロナ禍で生活が困窮。
そして「なぜ福島に帰らないの?」
「いつかは帰るんでしょ!」という
周囲からの見えない圧力がかけられる毎日。
根本さんはスマイルサポート新潟という支援団体を
立ち上げ、以来同じ自主避難者のために
24時間電話相談に応じて雪道の中へ駆けつける
こともある。
現在、福島県外の避難者はピーク時の約16万人から
3月の時点で約3万人まで減少。
だがこの中には自主避難者の数は含まれていない。
減少した要因は、県外の自治体(山形・東京など)が
2017年3月で借り上げ住宅の無償提供を打ち切ったことからだ。
自主避難は自己責任、いやなら福島に帰れと
国と福島県がグルになって
「避難する権利」をないものにしているのだ。
ちなみに指定避難区域である双葉町(大熊・富岡も)では
6月の区域解除へ向けて準備宿泊を始める計画を
1月に住民を対象に説明会を開いたが、
除染や自宅の再建が困難なことで
二の足を踏む避難者もたくさんいる。
「人権は、それを守る仕組みが伴わなければ、
絵に描いた餅にすぎません。
避難した選択を自己責任と片付け、
何も公的に支援しないのでは、
避難する権利が『ある』人権とはいえないのです。」
「災害多発列島に住む私たちは、いつ避難者になっても
おかしくありません。
そのとき人権は守られるのか。
自主避難者の苦境は、私たちの行く末も
映し出しているように思えてならないのです。」
(社説より抜粋)
福島の件では国連人権委員会からも
今のやり方について改善と救済を日本政府に求める
勧告を出しているが
岸田内閣は知らんぷりを決め込んでいる。
11日には住まいの権利裁判の原告である
懲罰的な『2倍家賃』請求を止めてください!」
戦争であれ、原発事故であれ
避難者が為政者のワガママ勝手で
その命を振り回されることにも
「No!」と訴え続けなければいけない。