浅草寺にて「東京大空襲」の戦跡を見る

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東日本大震災「3・11」と前後したが

きのう、10日の東京大空襲の日を忘れないために

浅草公会堂ギャラリーで行われた

「被災77周年東京大空襲資料展ーふたたび惨禍を繰り返さないためにー」

に行ってきた。(きょう13日まで。)

上の写真は墨田区本所で被災した画家の吉野山隆英さんの作品。

焼夷弾を受けた都電と燃え盛る火から逃げる人々を描いたものだ。

吉野山さんの作品はほかにも焼け跡だらけの町なかなどを書いた作品もあった。

もっとも私が目当てにしていたのは

浅草寺周辺の戦跡をめぐる約1時間のミニツアーだった。

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12時から始まるツアーに集合してスタート。

10人を5人づつに分けて案内することに。

浅草公会堂の玄関前では

空襲のあとが公会堂と役所(浅草区台東区の前身)以外がすべて焼失し

焼け出された人たちはいまのオレンジ通りを方々の定で歩き続けたと

いう説明を受けた。

いまでは玄関前に「スターの手形」があり

昭和平成の有名芸能人の手形がズラッと並んでいるから

歴史の流れを感じる。

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伝法院通りから仲見世に入り

本堂に入る手前の右側にある平和地蔵尊

1949年(昭和24年)築地市場の関係者だった。

龍郷定雄氏が自身の私財で建立した。

浅草寺では珍しいことなのだと。

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その裏手にあるのが

満州中国東北部)で生まれ育った漫画家のちばてつやさんがデザインした

母子地蔵尊。引き揚げで命を落とした人達を悼み

二度と戦争を起こさないことを祈念するためにつくられた。

本堂に入る手前でこれらのお地蔵さんは

説明を受けないとスルーしてしまうことが多く

きちんと覚えておかないとと強く感じた。

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母子地蔵尊の近くにそびえるこの大木は

戦災でも生き残ったイチョウの木だ。

しかし、

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本堂の周辺に残るこれらのイチョウ

真ん中がくり抜かれた形をしている。

なぜか?

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じっくり見ると

炭になっているところがある。

これが空襲のときに焼夷弾が直撃して一部が燃えた部分なのだ。

www.tokyo-np.co.jp

「以前は柵はなかったんですけどね・・・」

案内してくれた実行委員会の方が

中に入ってみてくださいということで

石組みを越えて見てみると

ほんとうに中が真っ黒になっている。

それでもイチョウは生き残った。

水分を多く吸い取る木なので

関東大震災では無事だったが

戦争では無傷ではいられなかったのだ。

 

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弁天山のほうにある鐘つき堂が

被災したときの写真。

建物が全て焼け落ち、釣鐘と石垣だけが残された。

そのあとに再建されたのはここだけではなく、

本堂もそうだったのだと。

唯一残ったのは二天門だった。

その理由はいまでも近くにある消防署の存在。

しかし左右にまつられていた

持国天増長天は千葉に疎開した時に

千葉空襲で焼失してしまった。

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本堂を横切って

淡島堂に移動する。ここには

浅草大平和塔があった。

1963年(昭和38年)の終戦記念日に建立。

浅草寺門徒や団体など多くの人々の努力で建てられたもので

ノーベル物理学賞湯川秀樹氏による

「みたまよ とこしえに やすらかに

 われら守らん 世界の和」の筆が刻まれていた。

またその隣には𠮷原などで被災し亡くなった人々の

霊を慰めるためにつくられた

戦災供養地蔵尊もあった。

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では、なぜ淡島堂に戦跡があるのかというと

空襲で御本尊が焼失しないようにと

厨子とともに、上の写真にある大きなコンクリート製の容器のようなのに

大事に入れて淡島堂の前に穴を掘って埋め立てたからだ。

淡島堂も本堂が再建されるまでその代わりを果たしたこともある。

賑やかで華やかな浅草寺からちょっと離れた

多くの戦跡はこれからも多くの人に見てもらいたい。

実行委員会のメンバーでもある

東九条の会では資料展がおわっても

無料でガイドを受け付けるとのこと。

(メールアドレスはtaito-9jyou@voi.co.jp)

よい学習になりました。

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