11年目の「3・11」を迎える中で
3月6日の東京新聞朝刊1面で
この記事にくぎ付け。
3月5日に日本世論調査協会がまとめた
福島第一原発事故などの原発に関する世論調査の結果(郵送方式)を
発表した。
すると海洋に放出する政府と東京電力の計画について
賛成 32%
反対 35%
わからない 32%
無回答 1%
つまり賛否がほぼ拮抗していて
世論は大いに賛成していないことがわかったのだった。
賛成の主な理由を問うた1位は
反対では
「環境汚染や健康被害」に不安があるという理由が多かった。
5日に参加した原発に関する集会でも
この汚染水放出についても取り上げられた。
昨年12月に経産省エネルギー庁原子力発電事故収束対策室と復興庁が、
「復興のあと押しはまず知ることから」としたチラシを
学校に直接配布していた。
チラシ回収への動きがあったという事実があった。
私はそのことを知らなかった。
マスコミもこの件を大きく伝えることがなかった。
(上の写真は「しんぶん赤旗」より)
このチラシを見ると
取り除けるものは大幅に取り除いて
大幅に薄めてから海に流しますという一方で
「トリチウムの健康への影響は心配ありません」と
書かれている。
つまり、トリチウムは取り除けることは出来ませんと
開き直った態度を取って
なんら恥ずかしいこともなく
児童や保護者を洗脳させようとしていることが
よくわかる。
計画では1km以上の海洋トンネルと通じて
なるべく遠洋の海域に放出するとしているが
上の2枚の資料写真にある通り
水だけではなく、水蒸気(霧や降雨も)などを通じて
動植物に入り込み、食物や排せつなどを繰り返すことにより
蓄積するおそれがある。つまりトリチウムをゼロに近いところまで
取り除かなければ将来にわたる危険性がある。
(「嘘も百万回言えば本当になる」手法でICRP(国際放射線防護委員会)に
催眠術をかけられている状態から国民は皆覚醒すべきである。)
では、汚染水のタンクがどんどん増えていく
この深刻な状況をどう解決すべきか?
「長期保管のメリットとして
50~77年程度の保管で排出基準濃度まで減衰し、
くみ上げた地下水を現在排出している際の目標濃度には
115~142年程度で減衰すると試算しました。
従来の2倍の貯蔵効率の大型タンク数基が
2年ほどで建設でき、雨水混入や漏えい対策も可能と評価。
半地下コンクリート製タンクに
汚染水をモルタル化して流し込み固体化させる方法は、
米国の核施設で実績があり、
海洋汚染の可能性がなくなるとしています。」
(2019年10月4日しんぶん赤旗の記事から、
原子力市民委員会による見解の発表より。)
また、
「汚染水からトリチウムを分離する技術を
近畿大学が特許申請中で、
それが実現すれば海に流すことができます。」
という代案もある。
北海道がんセンター名誉院長の
西尾正道氏は
海洋放出が一番安価だからと
政府のホンネをズバリと衝いている。
(2019年11月29日の日刊ゲンダイより)
政府の計画にもっとも反対しているのは
福島県漁業協同組合(県漁連)など
地元側なのである。
いまだに説得できないようでは
やってはいけないことであるし
別の方法を考えるほうがまともである。
なお同じ世論調査では
「原発は今後、どのようにするべきか」という問いには
今すぐゼロにする 5%
段階的に減らして、将来的にはゼロにする 64%
段階的に減らすが、新しい原発をつくり
一定数を維持する 25%
新しい原発をつくり、
将来も積極的に活用していく 5%
無回答 2%
政府は原発再開へ向けて動き出しても
世論は「脱原発」の意見が多いままだ。
しかしウクライナ攻撃が長引けば
その流れが突然大きく変わるかもしれない。
予断は許されない。