福島第一原発事故 放射能被ばくの影響は「ない」はやっぱりウソか!

汚染水の海洋放出閣議決定に関連して、

3月10日に国連放射線影響科学委員会(アンスケア)は

福島第一原発事故による放射性物質において

被ばくの影響はないとする2020年報告を出した。

福島県は来月からこの報告の周知活動をするというが、

5日の東京新聞こちら特報部」では

この報告に信ぴょう性がないことを検証している。

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記事を読んでみると

これらの指摘点があった。

 

1.被ばくの線量を調べるには放射性ヨウ素の体内摂取量を調べるべきなのに

  報告では被災地に飛び散った同物質の空間線量の測定値から

  「避難経路はこう」「呼吸や飲食の状況はこう」と仮定の条件で

  机上の計算を出しただけ。

2.「避難前や避難途中に食べ物を摂取したことによる線量は

   無視できる。」としているが、

   実際は事故後30キロ圏外に避難する途中で

   浪江町津島地区に同町民が立ち寄り

   地元で採れた野菜による炊き出しを食べた人が

   8000人がいたとされている。

3.日本人はコンブなどの海藻類から安定ヨウ素を大量に採っていることで、

  体内摂取量から国際基準の係数をかけて線量を導くときに

  その係数を半分にして計算。当然線量が少なくなるが

  「昔からある理屈だが、日本人は洋食化が進んでいる。

   そうした栄養学の知見が反映されていない。」

   (独協医科大学木村真三准教授のコメント)

4.避難者の線量分布を計算してみると

  「平均値は4.5m㏜だが約0.2%は100m㏜」

  この結果、約12万人避難したことで

  200人余りが100m㏜の被ばくを受けたと導き出されるが

  「屋内外にいた時間や食事の状況の不確かさを考慮した」と記述。

  しかし避難は集団単位で行われたことがわかっているから

  言い訳にもなっていない。明らかに調査不足を認めている。

5.チェルノブイリ原発事故の経験から

  どの線量でどれくらいがんが発症するかという割合をだせることで

  今回の事故から5歳女児のグループで

  15~50例の放射能による甲状腺がんが出ると推認したが、

  偶発的な発生が約650例が観察される可能性があり、

  これが50例の増減が出ることから

  被ばくか他の原因かは検知しにくい。

  

ということで「影響はない」とは断定しにくく

むしろ被ばくによる甲状腺がんがそれなりに増える可能性は

否定できないとするのが

正しい読み方だが、

「(マスコミは)正確に伝えていない。

 誤読を狙って意図的に誤訳していないか。」

まさに日本語リリースをそのまま伝えさせることで

マスコミ全体を「グル」に仕立て上げようというわけだ。

 

当然許されるものではないが

アンスケアはちゃんとそう指摘されるのを予測していたのか、

甲状腺がんが増えたのは検査の過剰によって

 悪化することのないがんの発見が多かったため」

「小児の甲状腺がんは急速に転移などの悪化が起こることはない」と

防衛線を張ってマスコミにそう伝えさせている。

しかし、政府は事故直後に放射線量を測定したのは

わずか1800人。避難した人は約12万人だ。

後になって県や自主的なエコー検査をした県民も多かったが

全ての避難者が果たして過剰な検査を受けていたのか

それを裏付ける数字が出ないことにはお話にならない。

これまで200人以上の小児が甲状腺がんの手術を受けていて

さらに転移や浸潤で苦しむ患者の数字は1人や2人では済まない。

 

はっきりいっていま影響はないといえば

すべては「ウソ」になるのだ。

やはりここは早急に結論を出さずに

当初の予定通り、30年の期間で検査や分析を経て

正式な判定を下すべきだ。

福島県原発事故の忌まわしき記憶を風化させようとしているのか。

そうなれば、国際的な信頼・信用そして安心を失うことを

よく考えるべきだ。

原発事故当時4歳の子どもも甲状腺がんに データ非公表認めた福島県立医大の欺瞞 | 週刊金曜日オンライン (kinyobi.co.jp)

原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)報告書:福島での被ばくによるがんの増加は予想されない | 国連広報センター (unic.or.jp)

官房長官、IAEA調査「歓迎」 原発処理水の海洋放出で:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

<速報>処理水処分の基本方針 知事が経産相に要請へ | 福島民報 (minpo.jp)