日本国憲法はライオンを暴れさせない「檻(おり)」なのだ!

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いまの日本国憲法に対して

国民が思うことはまさに

上の写真の気分ではないか。

11月14日、コロナ禍で延期になっていた

2020年の市川憲法集会は

ひろしま民法律事務所長の

楾(はんどう)大樹氏の講演

「檻の中のライオン」が中心だった。

立憲主義とは何かを主題に

国民が国家を統治するのにふさわしいのは

ライオンのようなのを選ぶ。

しかし、それで全てがうまくいくのか?

そこから話が始まる。

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皆さんはこのクイズにどう答えますか?

私は「①国民みんなだ!」に。

でも、正解は

憲法は権力者の暴走に歯止めをするために

あるものです。

では、その根拠にあるものは何だろうか。

私たちの人権は誰から与えられるのか。

国か、憲法か、それ以外か?

ちょっと難しいですね。

正解は「それ以外」なんですね。

これが「天賦人権説」というもの。

人権とは国家とか法律とかではなく

どこの国や地域に生まれても

自然に存在している当たり前のものなのです。

しかし、自民党からはそれは違う、排除すべきだと言ってるから

おかしなことになっている。

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実は憲法の存在意義とは

国を統治する者(権力者)が

国民およびこの国に居住する者のために

ちゃんとした仕事をしてもらうことを

約束してもらいましょうという

「社会契約」を結ぶことであると。

そのために「檻」の中に

権力者であるライオンを閉じ込めておくこと。

そのように例えているのだ。

こう書くと、

ライオンだって生き物じゃないか、

他の生き物だって檻に閉じ込めているのに

どうして憲法だとそうなるんだという

疑問が湧くと思う。

 

国家の中に自分がいると思うと

自分たちの幸せのために

強くて頼もしい存在を

政治のトップに据えたがるものだ。

これがライオンなのだ。

しかし、ライオンだっていつも

正しい判断をするとは限らない。

公私混同をしたり、一時の感情的な爆発のために

支配している全てを破滅させることもあるかもしれない。

だからあえて檻の中に閉じ込めて

その中で権利と義務を行使してほしいと

いうわけであり、そのルールが

憲法の中に書いてある。

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上の写真にある通り、

多数決で何でも決めることは

決して民主主義ではないのだ。

立憲主義で考えれば

少数派の意見にも耳を傾けた上で

すべての国民(住民)が納得できる

政治をすべきだし、

そのために国会は国権の最高機関であって

国の唯一の立法機関となっている。

そう、憲法のもとでは

ライオンは最高の存在ではないのだ。

ここをちゃんと理解しなければならない。

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ここではなぜ弁護士が「悪い人」を弁護するのかという

疑問に答えている。

大日本帝国憲法では

権力に楯突く人物を時の政治権力が

思うがままに逮捕、監禁、虐待をしてきた反省を踏まえて

現行憲法では第30条から40条に至るまで

その制限を規定して

法律の定める手続きにとらなければ

刑罰でその人の生命と自由を奪うことはできないと

いうことになっている。

もっとも今では

その常識とは逆の考えを平気でいう

弁護士も増えているからやっかいなものだ。

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もっともいまでは

学術会議の任命拒否や

集団的自衛権の行使が違憲であるにもかかわらず

安保関連法(戦争法)がなぜか突然できたり、

講演後の質疑応答でも

教育現場の人権侵害や自衛隊などをめぐる法的解釈の変動に

いまの憲法が思うように対応できないことが多い。

講演では、日本は権力者であるライオンが

檻の中から出て誰かを襲った時に

初めて取り押さえることが出来る

「付随的違憲審査制」のシステムを採用しているからと

説明した。

これにたいしてドイツは

ライオンが檻から出ただけで違憲判断される制度に

なっていると(抽象的違憲審査制)。

先の戦争で敗戦した国が

まったく違った制度のために

違憲に対する審判が違ってくるとは

今まで知らなかったことだ。

 

さて、私はこのブログで

憲法について議論するなら

九条からやるべきだという意見を書いて来た。

そしてこの講演を聴いたことで

ますますその確信を得ることが出来た。

それはいまの国会議員や政治家を称する人々が

憲法についての正しい知識を

まったく持ち合わせていないことが

多いからだ。

 

憲法は誰のためにあるのか。

憲法を護らなければいけないのは誰か。

そして自分たちは

檻から解き放たれて

乱暴極まりないライオンになっていることに

気が付いていない。

 

そういう人間が

憲法改正を語る資格がないのだ。

しかし現実はそういう人間が

国家権力の中枢にいるのだ。

 

ではこれに対するためにはどうするのか。

 

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まず私たちが

主権者として国の最高法規である

憲法を制定する権利があることを忘れないことだ。

権力のトップダウン

憲法が改正されることは

大きな間違いだとハッキリと

声を大にすることだ。

楾さんはこれを食い止めるために

選挙などの投票行動をちゃんとやるべきだと

語っていたが、

違憲と思われることは

常に疑問を持って行政や政治に

しっかりと物申すことが

これからも必要になる。

 

ライオンは一人で飼いならすことは出来ない。

まして檻の中に入れることは出来ない。

しかし、みんなが集って

話し合ってやっていけば

暴れるのを防ぐことが出来る。

憲法はそのためにある。

 

まさに考えて行動するヒントになった。

ありがとうございました。

 

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(権力者であるライオンも知る権利で傷つけられる。

 しかし檻の中にカーテンをつけることが出来る。

 それでは権力を監視することはできない。

 これに待ったをかける条文は?ぜひ考えてみてください。)

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