
福島県民じゃなくても
福島第一原発事故による被災者でなくても
悲しくて悔しい気分でいっぱいだ。
将来的な大津波が来るという
予見性を示した資料があったことで
「強制起訴」となった
東電福島訴訟は
当時の社長、副社長の刑事責任を問う裁判となったが
5日、最高裁判所第2小法廷(岡村和美裁判長)は
巨大津波は予見できなかったとして、
検察官役の指定弁護士側の上告を退ける決定をした。
原告側の敗訴が確定したのだ。
これを受けて原告側弁護団が「抗議する声明」を出したので
メール(訴訟団の一員として)からの全文を転載する。
東京電力福島第一原発事故の刑事責任を問う東電刑事裁判において、
最高裁判所第2小法廷(岡村和美裁判長)は3月5日付で、
業務上過失致死傷罪で強制起訴された
武黒一郎、武藤栄両被告(注・当時副社長)について、
検察官役の指定弁護士の上告を棄却し、
1~2審の「無罪」の判決を維持する決定をしました。
最高裁第2小法廷は、
三浦守裁判官を除く裁判官3人
(岡村和美裁判長、草野耕一裁判官、尾島明裁判官)全員一致として
「業務上過失致死罪の成立に必要な予見可能性があったものと認定できず」
「発電所の運転停止措置を講じるべき業務上の注意義務が認められない」とし、
被告人を無罪とした第1審判決を是認した原判決の判断は
「不合理な点があるとはいえない」と最悪の決定をしました。
私たちは、東京電力との深い関係にある草野耕一裁判官が
裁判の公正を妨げると考え、事件の回避を求めてきましたが、
3月21日の定年退官の直前の判断に強い憤りを禁じえません。
一方で、2022年、
東電民事裁判の最高裁6.17判決で、
少数意見を書いた三浦守裁判官が事件を回避したことにも驚きました。
そもそも、第1審判決は、
地震本部の長期評価に基づいて東電設計が算出した
15.7メートルの津波高をもとに、
武藤らによって先送りした事実が公判で明らかになり、
予見可能性は十分立証されたにもかかわらず、
この最高裁の決定は、
本件の双葉病院から避難の途中で亡くなった被害者とその遺族をはじめ、
万余の人々の生活と人生を壊した、
日本最大の公害事件である福島第一原発事故の
全ての被害者と被災者を踏みにじるものです。
さらに、人災事故を引き起こし、国民の生命と財産を窮地に陥れ、
甚大な被害をもたらしながら、
原子力発電事業者は何らの責任も問われず免責されるという法的前例をつくり、
むしろ、新たな原発事故を準備するものです。
決して許されるものではありません。満腔の怒りをもって抗議するものです。
私たちは、2012年、福島原発告訴団を結成し福島地検に告訴して以来、
事件が移送された東京地検における不起訴処分と検察審査会の起訴議決を経て、
市民の力で強制起訴を勝ち取り、
2016年の福島原発刑事訴訟支援団結成、
2017年から東京地裁の37回の公判の中で多くの真実を明らかにしました。
2019年東京地裁の不当判決。2021年からの控訴審と23年の控訴審判決、
さらに23年から24年にかけての最高裁で上告審と
13年にわたる道のりでした。
私たちは、改めて無念の死を遂げた被害者、その遺族、
そして被災者の14年の想い、これまでの道のりの中で
鬼籍に入られた多くの方々の想いを、決して忘れることはできません。
私たちは、兄弟姉妹関係の東電株主代表訴訟はじめ、
全国で裁判を続ける仲間の皆さん、
各地に生きる原発事故被災者の皆さんと共に、
今も続く過酷な福島原発事故の被害に真摯に向き合い、
原子力行政におもねる司法をも変えるためにも、
これからもあきらめずに活動を継続して参ります。
ちなみにこの文のなかで
原告訴訟団が事件の回避を求めてきた草野耕一裁判官は
「東電は国の地震予測である長期評価を基にした試算で、
最大15.7mの津波が来ると伝えられながら、
国への報告を2年10カ月以上怠り、
津波襲来4日前になって伝えた。」
これを過失行為とみなしたが、
1~2審判決については不合理であるものはなかったとして
無罪決定を支持した。
企業の犯罪を裁くことは日本では難しいといわれているが
管理体制の甘さを浮き彫りにした。
二度とこのような事故を起こさないためには
事実からの追及が大事なのに
それに背を向ける政府のあり方を許してはならないのだ。
