「9月入学」の議論は「コロナ感染」とは別問題だ

小中学校の休校が長引くなかで、

5月2日に

立憲民主党福山哲郎氏の

youtubeチャンネルを見る機会があった。

(なにしろテレビが面白くないので)

「#一斉休校下の子どもたちを考える」というテーマで

元文科事務次官前川喜平氏と

京都造形芸術大学教授の寺脇研氏に

議論が高まっている

9月入学の改革論について聞くという内容だが、

やはり専門家に聞かないと

わからないことがあまりにも多すぎて

これをないがしろには出来ないと思った。

 

寺脇氏は学校は勉強(学力向上)のために

あるのではないと強調した。

学校はいまや子どもの貧困など

セーフティーネットとしての役割を果たしていて

これは9月入学に転換しても

解決できる問題ではないと指摘した。

確かにいじめや引きこもりでは

学校などで対応できないこともあるが

家庭内暴力(虐待・DV)や育児放棄などに

学校や幼稚園・保育所などで

発見が出来る場合も考えると

高校3年生が最も不安がっている

学力低下による

大学入試への不安とは

別次元の問題になる。

この件はフジ「めざましどようび」の特集で

クローズアップされてきたことだ。

アンケート(高校生1500人)によると

9月入学に賛成が65%、反対が35%で

その賛成理由のトップが

まさにセンター試験などの入試が延期することで

学校に通えないハンデが解消できるからだと。

 

これに対して前川氏は

大学の入学時期は

大学が自主的に決めることが出来るのだと。

それではなぜ4月にしているのかというと

義務教育にあるという。

つまり「6歳から15歳」までに

義務教育の期間が省令で定められていると

高校・大学もそれに合わせなければ

新入学生を確保することができないと。

そういえば一部の大学では

「帰国子女枠」で

9月入学を実施している例もある。

おそらくそれを緩和してほしいということかと

2人はそう考えていたと語ったが、

 

この制度は根底から教育制度の在り方を

見直さなければいけないことであり

一部の知事が思いつきで考えるだけでは

ダメだというのが前川氏と寺脇氏の

一致した意見だった。

「全国一斉休校は世紀の愚策。

 総理大臣や知事に権限はない。

 休校を決める権限は地域の教育委員会にある。」

「学力は後でも付けられる。

 だが、心や体を蝕むことがないように

 (学校行事が)再開できるところから再開した方がよい」(いずれも寺脇氏)

「小1生を9月まで待たせると7歳になる子も。

 義務教育年齢を5か月引き上げることになる。

 17か月の幅がある子を1学年にするのは無理」(前川氏)

「落ち着いて考えて欲しい。

 自民党はこの間まで義務教育年齢の引き下げ

 (幼稚園の年齢からの)を訴えていた。」(寺脇氏)

「各学校、各学年の状況を見ながら再開すべき。

 PCR検査、消毒など、万全の対策をやった上でやる。

 子どもの学ぶ権利を優先して。」(前川氏)

「オンライン授業がすぐ出来なくとも、

 NHKの小学生の学年別授業や放送大学の授業などを活用して、

 学ぶ機会を作っていくこと。」

(寺脇氏、前川氏もオンライン授業について予算があるのだから

 具体的な行動をすぐにやるべきだと。)

正直言って

私は9月入学に転換するよりも

新年度から高校3年生になる子どもたちに

大学入試に関する特別な措置を敷いたほうが

良いとおもう。

たとえばセンター試験を1月から4月ないしは6月まで

幅広い時期に受けられるようにして

入学も4月から9月まで受け入れられるように

大学側に配慮してもらえるように

文科省が何とかすべきだと思うが。

「まるで9月には授業が再開できるようなことを

 前提として議論を進めようとしている。

 これは大人の無責任ですよ。

 こんなことで子どもを振り回すようなことを

 してはいけない。」(前川氏)

ごもっとも。

むしろ全国の高校で

オンライン授業が出来るようにしたほうが

受験生にとって

もっとも有益だと思うのだが。

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