前川喜平さんの講演を聞く

8日の午後、元文科事務次官前川喜平さんの

講演を聞きに牛久市の中央生涯学習センター

に行った。遠出になってしまったが、

以前松戸市内で開催された講演会が

仕事の都合で行けなかったので

このチャンスにと思ったからだ。

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講演の主題が「こども☆いのち☆ゆめ」ということで

教育と学校と(日本国)憲法の関係、そして

自身が見てきた夜間中学校の歴史の変化と不登校における

学校の在り方と自治体の新たな対応にまで話が進んだ。

2時間の話の中で印象に残った点としては、

まず憲法26条について。

いまの日本は本当にすべての国民が学校で教育を

受ける権利を享受しているかということ。

それが不十分ではないかと思う。

2項にある義務教育とは

国民が保護する子女に普通教育を受けされる義務を負う

と書いてあるが、本当は

国が国民に普通教育が受けられるようにすべきだと

解釈すべきではないかと。

すなわち義務教育の無償とはそういうことであるはずだが、

現実には普通教育を受けられなかった国民もたくさんいる。

「義務教育というより無償普通教育といったほうが

 いいんですよ。」

いまの改憲論議や法改正でも「教育の無償化」が

やたらに叫ばれているが、もともと憲法

きちんと記されているのだから

法をいじるより教育現場が「合憲」になるように

すれば何も問題がないはずだが、

実際の学校教育はすべて明治維新から始まった

学校令(旧憲法施行以前に)を基にする

軍隊式の教育が幅を利かせていることが

問題なのだと指摘した。

「詰襟、セーラー服、運動会の行進など

 みんな軍隊から入ったものなんですよね」

確かにうなづける。その上で黒柳徹子さんが

「窓際のトットちゃん」で書いた

トモエ学園の存在が、当時の画一的な教育体制の

中で「よくぞ存在していた極めて稀なケースだ」と。

戦後になり、新しい憲法ができても

貧困の中で学校に行きたくてもいけない人が

たくさんいた。しかし1980年代まで

それが理由で無償の普通教育が受けられなかった

人々は卒業証書をもらえず社会に放りだされていた。

80年代以降はそれが改められたが、今度は

いじめなどによる不登校などで出席日数が足らなくても、

形式的に卒業させられた人が

公立の夜間中学で勉強のやり直しが出来なくなる

ケースが出てきた。

それを是正すると同時に

わずかしかない公立の夜間中学校をさらに増やして

すべての国民が年齢などに関係なく

いつでも普通教育の「学び直し」ができるように

「義務教育機会確保法」の成立をサポートする仕事を

初等中等教育局長時代(2013年)からはじめて

2016年に文科事務次官になって実現したということ。

「勉強することは人間らしく生きていくこと

 なのです。」そして不登校というのは

「このまま学校に通っていたら殺されるわけなんです。

 だから通わなくてもいいよではなくて、

 絶対学校に行ってはいけないと親が理解すべきなんです。」

不登校をサポートする学校としては

私立のフリースクールや前述の夜間中学が良く知られているが、

「公立の学校でもカリキュラムに関係なく

 不登校で苦しんでいる児童のために

 サポート出来る独自のスクールを

 つくってもいいんですよ。」

その例として京都市や奈良・大和郡山市や世田谷区で

公立による不登校児向けの学校や指導教室の取り組みや

大阪・池田市の公設民営のフリースクール「スマイルファクトリー」

などの取り組みを紹介してくれたのだが、

私が一番驚いたのがこの点だった。

自治体が住民や学校などの悩みや課題に目を向ければ

いくらでも出来ることはある、その手段や方法も

たくさんあるというわけだ。

最後に松戸市と埼玉・川口市の公立夜間中学開校について

「20年以上の長い取り組みで実現できたのは

 本当に素晴らしいことだと思います。」

改めてお褒めの言葉をいただいたことに小さく拍手。

事前に配られたプログラムにも実行委員長が書いていたが

前川さんがやりたかった仕事とは

教育機会均等のためにはマイノリティーの声に

耳を傾けること。じつはこの声こそが

(サイレント)マジョリティーというわけだ。

これが教育を受ける権利、学ぶ権利を守ることだと。

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牛久憲法9条の会13周年記念講演として行われた

実にいい話が聞けました。

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