いじめは予防できる

「風邪に例えると風邪のない学校をつくることは

 できません。私たちに出来るのは風邪をひいても

 こじらせて肺炎にならない学校をつくること。」

 (大阪教育大学・戸田有一教授)

今日深夜に放送された

「JNNドキュメンタリー ザ・フォーカス」は

いじめ予防がテーマだった。

いじめによる自殺や引きこもりが社会問題になる中で

これまで場当たり的な対症療法しかなかった

教育現場のやり方を変えるため、

独自の取り組みを行ってきた教育関係者とその団体を

取材している。

足立区立辰沼小学校の校長時代から

この試みに取り組んできた仲野繁さんは

2011年に起きた大津市の中一自死事件をきっかけに

「T・K・R」(辰沼キッズレスキュー隊)を結成させ、

トロールゆるキャラフラッシュモブなどで

子ども(生徒)が中心になって主体的にいじめ防止に

かかわることが出来る仕掛けを行ったことで、

いじめによるトラブルをゼロにすることや、

「一週間誰も声をかけられなかった」に対して

「これはいじめだ」と思う意識度を高めて

「いじめに対する感受性を高めさせた」(教育評論家・尾木直樹氏)

といった成果をあげることが出来た。

しかし仲野さんのやっていることは

他の学校関係者からは「変わり者」扱いされている。

「(文科省は)学力向上に対する評価が優先されて、いじめ防止に

 対する関心がなさすぎる。」(仲野さん)

仲野さんは、

一般社団法人「ヒューマン・ラブ・エイド(HLA)」の共同代表と

していじめ予防対策推進法の改正を進める活動を行ってきたが

4月に超党派でつくられ公表された改正案では

「いじめを放置した教員の懲戒処分」だけでなく、

「学校側がいじめ防止の基本計画を策定」

されるという内容がなくなった。

仲野さんは「教職員の負担が多くなるというが、子どもたちが

中心になっていじめ防止に取り組んでいけば、

みんなが勉強しやすい環境が出来て学校がよくなる。」

と訴える。そして他の学校(番組では葛飾四ツ木の小学校)

にも積極的に要望があれば出向いて

いじめ防止の学校活動のアドバイスもする。

北欧ではいじめ防止のために週10時間の授業プログラム

を組んでいじめに対する意識を高める取り組みを

国を挙げてやっているとのこと。

冒頭の戸田教授は何度も視察して日本でも

これらの授業を教科の中に入れるべきだと提案する。

そして他の自治体でも(例として世田谷区など)

ロールプレイなどのプログラムによる

学習の試みが進められていることも伝えたが、

今後大掛かりな教育の改善として動き出すかは

まだわからないといったところだ。

「もう、いじめに対して傍観者でいることは

 やめませんか?」

番組最後のナレーションは一市民である私にも

重くふりかかる。いじめで自殺に追い込まない

学校にするには、本当に何が必要なのか

考え続けなければならない。

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