阪神淡路大震災25年目で迫るアスベストの脅威とは

新型コロナウイルス騒動のおかげで

花粉症の家族がマスクの売り切れで困ったり、

市の社会福祉協議会が主催する

災害ボランティアセンター運営訓練や

勝浦市のビッグひな祭りが中止になったりと

まさに脅威だけが一人歩きをしている

日本であるが、

静かに現れる脅威として

アスベスト石綿)の健康被害が迫りくることを

警告しているのが、

16日深夜(17日早朝)の日本テレビで放送された

NNNドキュメントである。

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兵庫医科大学の長谷川誠紀医師は

肺がんと中皮腫を扱う数少ない専門医だが

中皮種の原因となるアスベスト

これを吸い込んだ時に胸膜に突き刺さって

その潜伏期間は25~30年だが

一旦発症すると1年以内に死亡すると説明。

まさに「静かな時限爆弾」なのだ。

明石市職員だった鳥谷和則さんが亡くなったのは

7年前のこと。享年49歳、中皮腫だった。

あの大震災のときに瓦礫を片付けて

集積所に運ぶ仕事をしていた。

それから18年後に発症したことから

あのときにアスベストを吸い込んだのではと

遺族が地元の公務員災害補償基金に申請したが

「胸膜ではなく腹膜で発症したため因果関係がない」

として労災が認められなかった。

この決定に納得できないとして

現在も裁判が続いているが

支援する仲間からも

「自分もそうなるのではないかと思うと不安だ」

という声も。

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熊本学園大学の中地重晴教授は

瓦礫を撤去する時に

必要な処置を十分に出来ずに

アスベストが入った粉じんがかなり飛散されたと

実地調査の上で指摘した。

しかし神戸市は各地点の調査から

健康被害の影響はないと結論付けた。

しかし中地氏は

「(全壊・半壊などの)解体現場の近くではなく

 学校の近くで測定したのだから数値が低くて当たり前」

と反論。300人以上が当時現場で作業したのに

労災が適用されたのはわずか5人。

都市政策の専門家からも

神戸のやり方は備えがなかったので

早期のアスベスト対策が必要だという

論文もあった。

その後、2005年の

「クボタ・ショック」によって

国内のアスベスト建材の製造・販売が禁止になって

やっと解体における

アスベスト飛散の防止策が

現場レベルで浸透するようになってきた。

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そして熊本地震の時は

水をまいて丁寧に取り出し

他の建材とは別々に厳重に管理して

場所によっては防護服で作業するようになってきたが

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一部の業者では徹底していないところもあったと

中地氏らの調査で明らかになってゐる。

もともとアスベスト関連は

建材に関する規制は国土交通省

吸い込まないための身体の保護は厚生労働省

そして飛散防止は環境省

縦割り行政の弊害が

中皮腫の予防への足かせになっていると。

そして神戸や熊本に限らず

全国で280万棟がまだ

アスベストの建材が使われ続けているという事実がある。

神戸では500人の有志が集って

国と兵庫県・神戸市に

残っている建物の実態調査と

解体時の手順の徹底を要請した。

ことし、ひょっとしたら

中皮腫の患者が増えるかもしれないし

震災時の作業との関連が疑われても

言い逃れは出来ないはずだ。

ちなみに最近テレビで寺尾聰の歌(本人も出演)が流れる

法律事務所のCMでは

アスベストによる肺がん・じん肺中皮腫

国から補償を受けられると宣伝しているが

過去にばく露作業をしてきたとして

労災が認定された事業場のみの適用のため

震災時の解体作業には適応しない。

このような矛盾は許せない。

どちらも「公害」であることは

同じではないのか。

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