津久井やまゆり園事件第二回公判の記録

昨日のブログでは

植松聖(さとし)被告の初公判での態度と

実話ナックルズの遺書めいた声明文に

怒りが爆発してしまい

取り乱した書き方をしたことを

おわび申し上げたい。

植松被告が裁判長に諭されて

「申し訳ございません」と誤ったあとの

第二回公判の記録を残しておきたい。

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(11日付読売新聞朝刊社会面にて)

この日は植松被告に拘束された5人の職員が

現場の状況を証言した調書を朗読した。

これは証拠調べのためにやることだそうだ。

その内容を簡潔にまとめてみると

・園内に侵入した植松被告は

 「騒いだら殺す」と刃物を見せて

 職員を脅迫して結束バンドで

 両手を縛り各入居者の居室まで連行。

・職員に対し「こいつはしゃべれるのか」

 と聞き、話せないと答えると

 布団をはいで刺した。

・話せると説明した入居者にも

 「こいつしゃべれないじゃん」と

 首付近にも2,3回刃物を振り下ろした。

・特定の入居者についても

 「あいつはどこにいるのか。

  殺さないとな。」と言った。

・途中からは会話が可能かを確認せずに

 襲ったりした。

・「こいつら生きていても仕方ない。

  いらないですよね。」と

  話していた。また

  「塀の中の暮らしが長くなる。

   いい思い出にしよう」とも。

そして廊下にもおびただしい血で、

居室にも血だまりでまさに惨劇だった。

その苦しみと痛みを想像すると

突然涙が出て、守り切れず

自分を責める日々が続いていると。

 

その中でわずかながらの

救いのような証言もあった。

結束された職員の

バンドを切った入居者がいた。

また職員に自ら近づいて

「携帯電話持ってきて」

という頼みを聞いて

警察の110番通報に貢献した

入居者のひとりが

尾野一矢さん(40歳)だった。

尾野さん自身も重傷を負ったが

両親たちからは

「今度会った時は本当にいいことをしたんだねと

 ほめてあげたい。」という

コメントは閉廷後の取材であったという。

今回の裁判では遺族側に配慮して

被害者本人の名前を匿名にして

また傍聴席もつい立てを置くなどして

遺族のプライバシー保護にも配慮する形をとったが

それに対して

逆に裁判所がこのようなことを

決めることはいかがなものかと

いう意見もあった。

しかしこの証言には

入居者がここで生きる意味が

しっかりとこめられたものがあり

障がいを負ったものが

やまゆり園で暮らすことが

私たちが普通にいきることと

同じくらいの意義があるということを

証明したのだ。

家族と同じくらいに

職員と入居者が

心を通わせて毎日を暮らしたからこそ

この残酷さを悲しみ怒り

それを共有したことを

もっと多くの人々に知ってもらわなければ

いけない。

知的だろうが身体的だろうが

障がいはいつ襲ってくるかは

だれにもわからない。

その時

「あなたには生きる意味がない」といわれても

それを受け止められるだろうか。

たぶん「NO」ではないのか。

入居者たちは

言葉は表情などで表現できなくても

生きる意味を追いかけて

一日を大切に過ごしたのではないのか。

その価値観をみんなで共有できれば

「秘匿決定」などいらないと思うのだが。

 

植松被告は弁護人の席の脇に座り

時折手袋で汗を拭うようにしながら

正面に顔を向かい合わせていたという。

 

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