神宮球場は５万人収容を目標に現地で建て替える。
新たな収益源として、長期滞在型ホテルも整備。
敷地を事業者に貸し出し、借地料などを得る。
旧国立競技場は縮小して建て替え、
第２球場など他の既存施設も廃止・縮小したりして緑地を拡張。
絵画館前の広場からスポーツ施設を移転させ、創建時の景観に戻す。
樹木の大量伐採や移植でもめている
神宮外苑の再開発問題だが
２００３年に東京の緑地を守るという理念の下、
明治神宮側の依頼で、専門家らが
２００３年に自然環境に配慮した計画をまとめていたことを
東京新聞が２７日朝刊１面で伝えていた。
いまの計画ではこれまで認められなかった
超高層ビルの建設が条例の変更などで認められ
樹木に悪影響を及ぼすとの懸念が出ていること。
さらに２０１９年には計画案を巡って差し替えなどがあったが
国立競技場の改築が行われ
「縮小」どころか１万人以上の観客席の「拡大」が行われながらも
芝生がボロボロでスポーツ以外の行事やイベントに不向きなどの
批判も出ていた。
これに対して２００３年の計画案は
「外苑の環境を壊さないよう、神宮の維持のための必要最小限の計画にした。」
「報告書は、あくまでたたき台。
一部の事業者でやるのではなく、
外苑が造営された当時のように住民から行政まで巻き込み、
皆が納得できる形で事業を進める構想だった。」と
当時の案に携わったメンバーの一人が取材に答えた。
三井不動産と伊藤忠商事が事実上の主体になっているいまの計画とは違うのだ。
もっともそれゆえに
ゼネコンやデベロッパー、都、有力政治家らに持ち込んで説明したが
賛同者が集まらず、計画は実現しなかったというわけだ。
ちなみに明治神宮側は当時については
担当者が把握していないと。
当時の宮司に取材を申し込んでも回答は得られなかった。
それどころか
「一民間の宗教法人として独立し、
内苑と外苑を守っていくことになった今は、
（国所有の）創建当時と時代背景が１８０度変わり、
収益事業を担う外苑の役割が欠かせない。」
「神宮球場を使いながら更新できないと経済性が成り立たない。」
「『開かれた外苑』という創建時の精神を継承しながら、
経済性の問題を解決すると同時に、
施設の老朽化など地区全体の課題も解決できる。今回の再開発は最適解だ。」
「（高層ビルについて）将来の経済性の一部になる。」
「 （景観悪化への懸念の声に対して）
外苑のエリアにもそれぞれの顔があり、
高度利用に値するゾーンで高層化する」と回答しているが、
私にしてみれば「理由になっていない！」だ。
明治神宮は企業ではなく
国が認証した「宗教法人」である。
たとえ国が直接運営に関わっていなくても
宗教活動にかかわることは「免税」になっている。
その一方で消費税など
明らかに収益を得る活動については課税されるが、
再開発によって、
外苑そのものの不動産価値（地価を含めた）が高まり
外苑そのものは商業施設ではないから
固定資産税は「免税」。さらに
ホテル「だけを」つくるくらいなら
多目的に活用できる高層ビルをつくったほうが
税金を納める立場としては大きなメリットになって
より多額の収益が得られる、まさにぼろ儲けだ。
「外苑は、ある種、公共的な財産。
国民の寄付でできた経緯からすると、
明治神宮は都民の貴重な場所を預かってきたようなものだ。
その責任を全うしないで開発するのは
とんでもないというのが多くの人の実感だろう。
外苑再開発は、あまりにも都民の意識と乖離している。」
元学術会議議長で東大名誉教授の大西隆氏（都市計画学）の
コメントこそ明治神宮はしっかりと受けとめるべきだ。
「神道」が日本と日本人の生きる道であると
普段から解いているならば
自分たちだけが得をすると言う選択、
それも２つの私企業のためだけになるという選択なんて
罰当たりもいいところだ。
イコモス勧告に従う形で見直すこと。
それが外苑をつくるときに
当時の国民が寄付や勤労奉仕に尽力した
「将来への希望」に叶う形になるはずだ。
