ドキュメント「東京デリバリー物語」

きのう見た、フジテレビの

ザ・ノンフィクション「東京デリバリー物語~スマホと自転車とホームレス~」

(令和4年度文化庁芸術祭参加作品)。

www.fujitv.co.jp

以前にウーバーイーツのことをこのブログで書いたこともあり

食い入るように最後まで見たが

この現実は私の想像をはるかに上回る

「貧困への2歩手前」の、それでも死なない

最低限の生活、しかしそれは憲法25条にあるものではなかったのだ。

samuraitax.com

デリバリー稼業者(ギグワーカーとも呼ばれるが、私はこう書かせてもらう)、

和田さん(仮名)の場合は調子が良ければ

週に9万円を稼いで月収が40万円になることも

過去にあった。しかしその一方で配達中で事故に遭った

その時には無収入になり

都内にある支援団体から食料の支援を受けたこともある。

もとはイベント会社の社員で

「もう仕事はないけど、それでも会社にいる」と社長に言われて

それなら辞めるということで、知人からこういう仕事があると知り

始めたのだが、高額の収入を稼いだ翌月は

「仕事をする気にならない」ということで休むことが多くなり

貯金ができない「その日暮らし」に。

しかも多くの配達先を求め探し続けることで、

定住所(住み家)を決めることは損だということで

簡易な宿泊先を寝床にする「ホームレス」な生き方を選択したというから

もはや「信じられない!」を超えた衝撃だ。

その支援団体から食料を援助してもらった

もうひとつのデリバリー稼業者の中川さん(仮名)は

早稲田大学政経学部を卒業して

日本銀行(日銀)に就職したが、

人間関係に悩んでうつ病になり5年目で退職。

引きこもりになり、会社勤めができないならと

FXに手を出したら98万円もの借金を抱え

家族とケンカして家を出たときは

わずか80円くらいの所持金しかなかった。

だから和田さんと同じようにホームレス状態で

デリバリー稼業を続けているが日々収入が変動するなかで

多額の借金なんか返済できることなどできない。

この生活にいきつくために前述の団体の力を借りて

生活保護の申請を受けた、そして自立のために

職探しをしたが結局がこれだから

そこからの「上がり目」はまったくないのだ。

 

しかし、和田さんも高山さんも

最後はデリバリー稼業から脱することが出来た。

和田さんは高額収入を得た頃にバーで出会った女性を頼り

彼女の実家のリフォーム会社に正社員として再就職。

高山さんは日銀時代に親に勧められて加入した

終身型年金保険があったことを思い出し

解約に成功して借金を完済して

いまはこれからの人生のための「自分壊し」のための

日本一周の自転車旅をしているという。

 

二人のように運よく周囲の助けがあって

貧困の2歩手前から脱することが出来た。

デリバリー稼業者のなかには他の仕事(本業の場合も)を兼ねることや

和田さんや高山さん以上に稼いでる人もいるらしい。

しかし番組の最後ではステイホームが一段落して

食べ物を配達する需要が落ち込んでいる、

そうなれば以前のようにデリバリーでは稼げないどころか

「健康で文化的な最低限の生活」すら困難になってきている。

しかし、ウーバーイーツなど彼等を操る経営側は

個人事業主ですから」ということで

人間としてまともな職場環境のもとで働かせるという

選択をしようとしない。

たとえ配達依頼の数が減ったとしても

配達員は勝手に減っていくから痛みは少ないし

台風などの配達が困難な時はポイントを増やして

無理矢理はたらかせて、事故が起きた時は

「自己責任」で知らんぷりを決めようとしているのだから

腹がたつ。こういう所を番組はもっと突っ込んで欲しかったが

それがないまま終わったことが見る側にどう伝わってくるだろうか。

私のような感想ばかりだったら

そこから新たな救済が始まると思うのだが、どうだろうか?

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