「官製春闘」はもはや産別で
バラバラ回答になってしまったようだが、
それでは非正規労働者はどうかというと、
ウーバーイーツ(ウーバー)の配達員が
ユニオン(労働組合)をつくって
団体交渉が行えるかということで
東京都労働委員会に申し入れた
審理が大詰めを迎えていると
2月15日付の東京新聞朝刊が
1面と5面で大きく伝えている。
ちなみに配達員は「ギグワーカー」と呼ばれているそうだが
ウーバーは「個人事業主」ということで
団体交渉には応じない姿勢を取り続けてきた。
「だがウーバー側の主張の根拠は揺らぎ始めている。
昨秋から計4回開かれた証人尋問で、
ウーバー側の一方的なルール変更に翻弄される
配達員の姿が鮮明になったからだ。
自転車で配達するAさん(49)は
尋問で『11月に報酬300円の配達ばかりになり収入は激減した』
と証言した。
以前は5キロ走れば850円以上だったが、
同程度の距離でも11月から300円になったという。
報酬体系はいつも突然変わり、
昨年5月から非公開の算定式で決定。
報酬変動の理由さえ不明になった。
Bさん(40)も「4日間で○○件」など目標を達成すると
最大数万円の追加報酬が出る制度の弊害を指摘。
『1回でも足らないと追加報酬はない。友人は焦って事故を起こした』
と証言した。
さらにユニオンで執行委員長を務める土屋俊明さん(45)は、
ウーバーからの「配達リクエスト」に応じるかを決める時間が
昨年の一時期、30秒から15秒に短縮されたと証言。
『バイクを止める間もなく、走行中にスマホの確認を迫られ恐怖だった』
と主張した。
『ルール変更の際、配達員の意見を聞いたのか』。
ユニオン側の弁護士はウーバーの責任者に質問した。
『メールで知らせた』。これが責任者の答えだった。」
記事では就職氷河期世代(40代)の配達員の奮闘が
目立っているが、
私はやはり「契約」に注目したい。
一方的なルール変更は
例え個人事業主とクライアント側との間でも
絶対に許されることがないはずだ。
しかし労働三法や商法の隙間をついて
メールさえ出せば「異議あり!」の声が出ない限り
契約の変更が認められると勝手に解釈する
ウーバーイーツのやり方は「違法と同じ」だとして
団体交渉を認めない限り解決できないと
東京都労働委員会が認めれば(救済命令)
ユニオン側に希望が持てる。
5面の記事の見出し「『働く人任せ』には限界も」
「ウーバー、法廷で抵抗可能性」
この見出しについて、
ギグワーカーの団体交渉権について
東京都の労働委員会が救済命令を出しても
ウーバーが中央労働委員会に異議申立てをすることは可能で
裁判所に命令取り消しを求める訴訟をすることもできる。
闘いは長期化するうえに団体交渉が出来ても
ウーバーがユニオンの言い分を聞くかどうかは
わからないということで
「(日本国)政府はギグワーカーを
保護すべき労働者として定義し、
労働環境の改善に積極的に動くべきだ。」と。
実際にEU(欧州連合)は
昨年末に就労状況をデジタル機器で
管理・監督しているなどの場合に
法案を公表している。
そしてAmazonの本家本元では
アラバマとニューヨークにある倉庫で
労働組合を結成する動きが本格化してきた。
決してあきらめてはいけない闘いはこれからなのだ。
東京都労働委員会は結論を6月に出すとのこと。