「だれも独りにさせへん」で見た「コロナ禍と命」の天秤

15日にNHKで放送された

「ストーリーズ」は

橋下徹の自宅がある大阪府豊中市

社会福祉協議会社協)の奮闘を追いかけている。

「命のことをすごく考えた冬でしたね。

 なんか、一番大事なことはやっぱり

 『命を助ける』本当に福祉の原点はここだなって

 この冬そう感じたって。

 ただ、頼ってほしいってね。」

そう番組の最後で取材に語っていたのは

社協コミュニティソーシャルワーカーとして

さまざまな相談などの活動をしている

勝部麗子さんだった。

映像が昨年冬の押し迫ったころからの

状況を追いかけているが

1年前(2019年度)と違って

本来ならあり得ない事例が出ているそうだ。

つまりコロナによる緊急事態宣言

さらに「新しい生活様式」によって

収入減により、一気に困窮して

自宅を差し押さえられた人も出てきた。

しかも国の特例貸付制度などを

限度額を借りても生活が成り立たないなど

自力で生活を再建させたくても

あらゆる策がない。

そのために生活保護などを進めても

「人の世話になりたくたくない」。

また、社協があることを友達に

聞いて初めて窓口を訪ねた人は

「ここを知らなかったら

 今頃首をくくっていたかもしれない」。

食糧支援や別の貸付制度などを紹介することで

「絶対に死んだらあかん」と呼びかける。

実はこの番組で初めて

「民間の住宅ローンは国は支援してくれない」

ということを知った。

不勉強のいたりだが

「完全に身ぐるみを剥がされたって感じ」

(勝部さん)

という人が増えているのだが、

それが表の数字に出てこないのだ。

 

勝部さんはホームレスなど

家がない人たちを積極的に声をかけて回っている。

それを市民のボランティアと連携して。

しかし、今年の4日

2度目の緊急事態宣言に

「勘弁して」。

声をかけることが制限されてしまうし

ボランティアの活動も出来なくなっているからだ。

事実、年末から声をかけていた一人暮らしの60代男性が

家から出てこないと近所の住民からの通報で

孤独死したのではと急行したら

1日に救急搬送されたと聞きホッとしたということも。

コロナの自粛は感染拡大防止につながっても

孤独死」を阻止することへの足かせになっている。

 

「ソーシャルディスタンスって

 『人と人との距離を保ちなさい』と言われてることは

 私は今まで『人と人との距離を縮めましょう』と

 ずっと言ってきたことだから

 地域の人たちとどうやって関わりを増やすか

 どうやってつながるかどうやって心を寄せていくか

 その方法論がもうすべて否定されているような感じで

 自分のいろんなカードが全部なくなっちゃった。

 そういう中で、どうやって孤独と向き合うのか

 どうやってこの人たちをサポートできるのか・・・」

 

そして勝部さんがとったのは

感染対策を行いながら

声かけを続けることだった。

粘り強く説得して

収入減(タクシー運転手)で持病の治療が出来ず

生活保護の申請をせずに自暴自棄にあった人が

考え方を変えて申請をして治療を行うことに

したと番組では伝えている。

 

「ある意味世の中から見たら『困った人』なんですよね」

と勝部さんはいう。でもそういう人だからこそ

本当は世間とのつながりを求めているのがわかる。

だからその人たちに寄り添う伴走者でいたい。

しかしそうするためには

圧倒的にマンパワー不足だと。

確かにそうだ。

専門的かつ政策的に

本当に困った人たちを救うには

この日本は足りないことが多いのだ。

ましてコロナ禍という想定外の

社会的混乱はまさに

「見えない貧困」を拡大されている。

これに私たちはもっと気づかないと

いずれは大きなツケを喰らう。

 

「コロナ禍」と「命」は

両天秤にかけられない。

そして「命」と「経済」は

お互いにバランスをとらなければ

人類は滅亡する。

そのためには「福祉」のあり方を

もっと見直す必要がある。

 

いまは「自助」ばかり求められていて

「公助」も「共助」も足りない。

政治はまったく自覚していない。

コロナに負けない地域のつながりを作る(1) | 一人も取りこぼさない社会をめざして | 地域づくり情報局:NHK

社会福祉協議会のCSWが「生活支援コーディネーター」を兼任している背景(豊中市社会福祉協議会 勝部麗子さんのインタビュー:前編) | 大阪ええまちプロジェクト (osaka.lg.jp)

勝部麗子(2014年7月7日放送)| これまでの放送 | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀 (nhk.or.jp)