以前ブログで書いた
大阪市の北新地にある
神経科クリニックの放火事件(昨年12月17日)は
大阪府警察本部(府警)が捜査を続け
16日、事件後に死亡した
谷本盛雄容疑者(当時61歳)を
殺人と現住建造物等放火などの疑いで
受理した大阪地方検察庁(地検)は
本人死亡のため不起訴にしたことで
事実上すべての「真実の解明」が終わったのである。
(17日の読売新聞朝刊社会面より)
容疑者は事件後の13日後に入院先の病院で死亡したため
府警は1度も事情聴取ができずに
客観(的)証拠を積み重ねて「動機」に迫ったと
新聞記事に書いてあるが
その結論は
①スマートフォンの電話帳に登録先がないため
家族や元職場のかかわりを断ち、
定職もなく家賃収入で生活していたが
昨年1月から口座残高がゼロになった。
②唯一の社会の接点は
事件を起こした神経科クリニックのみ。
(2017年3月から)
③生活していた住宅(市内西淀川区)から
書かれたメモが見つかり
「心療内科(クリニック)前で待つ」
「(クリニックが入っている)ビルのシャッターは
何時に誰がいるのかを確認する」
とあったことから計画的な犯行である(と府警は判断)。
④スマホからさらに
昨年10月から「拡大自殺」と検索した
履歴が残っていたのがわかった。
⑤また、11月には
カード会社から借り入れ上限額に達して
これ以上の借金ができないと伝えられた。
以上の証拠から府警は、
収入減と借金による生活苦と
クリニックでの「リワークプログラム」などで
治療に前向きに取り組む参加者への
劣等感による動機から
犯行を行ったと「推定」したのである。
普通なら容疑者が死亡した事件は
捜査結果が公表されることがない。
しかし犠牲者が多数出たことや
社会の不安を解消させることを目的に
府警は最後まで捜査を行い結果を公表した。
しかし遺族や関係者の怒りや
頼る者を失ったダメージが消えることがない。
専門家は国や自治体が最大限のサポートをしてほしいと
言ってるがその通りである。
「殺しても殺したりない」怒りと悲しみを解消するには
時間と空間を長くきちんと確保されなければならないのに
いまではこの事件の記憶が風化されている。
誰も振り向いてくれないなかで
この事件を模倣した事件が
何度も乱発している。
この「悪の連鎖」を断ち切るには
心の病を起こす原因とは何かを
じっくりと、社会全体で分析しなければいけないのだが
この国・ニッポンは
もはやそんなゆとりがない状態になってるのだ。