なぜ、在日韓国人が「韓国ひどいですよね」と言うのか

購読している「新聞うずみ火」の記事の中に

大阪鶴橋のコリアンタウンにある

「コリアNPOセンター」事務局長の

金光敏(キム・グヮンミン)さんのインタビューが

あった。8月半ばに訪韓して政府関係者と意見交換を

交わしたことから

もつれた日韓関係をどう見るか。

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まず徴用工に関する大法院判決について、

日本政府の苛立ちもわからないことはないとした上で、

朴槿恵政権から文在寅政権に交代する中で

自らの立場を早い段階で説明すべきだったと。

韓国政府は日本へ徴用工などの直接請求を極めて自制的に対応してきたことから、

今回の判決が出ても政府はこれを覆すことは難しい。

あくまでも人道的観点で、

日本が過去にやってきた戦後処理で十分に対応できうることなのだと。

(ちなみに日中間の徴用工問題については政府間で和解に動いて解決済み。)

そして個人的請求権については

両国の関係で見るとどっちもどっちの雰囲気だが、

国際法論理、第二次世界大戦後の戦後体制で

いうなら、

日本のほうが常軌を逸脱していると。

1991年8月の参議院予算委員会

外務省の柳井俊二局長が

日韓両国が国家として持っている外交請求権を

相互として放棄したということで

個人の請求権を消滅させたものではないという答弁は

一部マスコミで裏付けとして報じられているが、

金さんはさらに付け加えて

「戦後処理をめぐって交わされたすべての条約の中で、

 個人請求権を否定した条約は一つもない」として、

日韓基本条約を締結するときも、

日本人が朝鮮半島に残した

資産に対する請求権が議論になったが、

当時の日本政府側は

「個人請求権が喪失するものではない」

と答弁していて、行使も可能だと言っていると。

そうなると戦後引き揚げを余儀なくされた日本人遺族も、

韓国政府にあの時残した財産を賠償請求することが

可能なのだが、安倍政権やそれに追随する

学者・文化人らが何も言わないのがおかしいということになる。

条約時に日本が韓国におくった5億円も

決して賠償金と言わず経済協力金と言い続けたのも

問題だと。全てが朝鮮戦争後のインフラ整備に使われ

建設費や利権が全て日本企業に還流され、

韓国経済は日本の下請けとなる上下関係が出来上がっていったが、

日本が「平成」の時代になってから、韓国のほうが

IT産業の進化にともなってその関係が崩れていったことと、

嫌韓国」の世論が日本で形づくられるように

なっていったことは決して偶然ではない。

そして日本が第3国主導の仲裁委員会の設置を呼び掛けたことには

「判決の内容を行政権で歪めてほしい」という求めに

応じられるわけはないし、もともと慰安婦問題で

委員会の設置を韓国が求めてきたのに、

日本側がことごとく蹴ってきたという事実もあると。

最初に書いた訪韓時には

「あった人たちは皆、苦しんでいた」と。

それは悪化を防ぐ打開策を探し出せず、

日本に対抗すべき世論の高まりを心配していると。

被告企業の(韓国内の)資産の現金化についても

原告側との対話のテーブルが開かれたら

ストップする方針だが、

日本政府(安倍政権)の強い意向があり

被告企業は話し合いに応じない。

しかし、現金化を進めれば日韓関係が取り返しがつかない

ことにあるのをわかっているから

原告側は粘り強く回避の可能性を示唆していることに

注目しないといけないし、

「僕ら(在日)もそこに着目して、日本の社会で

 どんなふうな動きができるか考えないといけないと

 思います」(金さん)。

いまの日本社会は日韓・日朝問題について

東北アジア全体の情勢の中でとらえようとする

視点がまったくないから、

狭い視点の国益に議論が集中している。

それゆえに金さんもメディアで発言するたびに

嫌がらせだけでなく

「頼むから韓国を擁護する立場でしゃべらないでほしい、

 どれだけしんどい思いしてると思てんねん」

と在日と名乗る人からの電話をうけることもあるそうだ。

これからはテレビ・ラジオで

在日の人が「韓国ひどいですよね」と言っても

決して真に受けないでほしい。

いまの日本の「嫌韓国」世論に対する強迫観念がそうさせているのであって

みんなそのようなことは言いたくないのである。

心の底から日韓の関係改善を願っているのである。

そして在日韓国人をそのように追い詰めた

安倍首相は最も罪深い人間なのである。

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