ドローン規制法制化で取材の自由の妨害を許すな

小型無人機ドローンの飛行禁止区域に在日米軍自衛隊施設上空を

追加したドローン規制法の「改悪」法案が17日の参議院本会議で

成立して施行が決まった。もっとも共同通信の記事では

東京五輪のテロ対策が協調されていて

沖縄県の米海兵隊辺野古基地建設予定地上空については

詳しくは伝えていなかった。

this.kiji.is

一方の沖縄タイムスは米軍基地上空の禁止をはっきりと伝えていて

施行後は施設の同意なしにドローンによる空撮は出来なくなり、

日本新聞協会は「取材活動を大きく制限し、国民の知る権利を侵害する」と反対した

と一方で政府側は「取材活動を制限する意図はない」と説明したと

伝えている。

www.okinawatimes.co.jp

この件について激しく反対して全国に訴えを発信したのが

「沖縄ドローンプロジェクト」(奥間政則代表)だった。

私は基地関係の集会で知った「森の映画社」

(影山あさ子氏ら共同代表)の活動でこのプロジェクトを知り

カンパなどで支援をする中で最新映像を収めたDVDを送っていただき

それを見ることで辺野古埋立てや高江ヘリパット建設の惨状とウソの数々、

そして宮古島陸上自衛隊駐屯地建設における

「地元説明会で話がなかった新設のミサイル弾薬庫」の危険性を

改めて知り、その強行かつ秘密裏に事を運ぶ安倍政権の態度に

怒りを止めることが出来なかったのである。

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4月に「森の映画社」から送られたDVDに添付された資料には

こんなことが書いてあった。

「去年8月に沖縄県が(辺野古)埋立承認撤回をしましたが、その効力を無効にした

 行政不服審査請求書の中で、地盤改良工事や環境保全措置について述べた

 17ページには『施工により生じる環境負荷は、環境保全図書の予測と

 ほとんど変わらないものであるか、環境基準を下回るものであるか、

 あるいは(中略)環境保全措置を適切に講じることなどによりその影響を

 低減することが可能である』と記されています。

 防衛局が適切に講じる『環境保全措置』というのは汚濁防止膜ですが、

 私たち沖縄ドローンプロジェクトがことごとくその保全措置の不正を

 暴いて公表していることが、政府側にとっては非常に

 不都合なことなのです。」

www.okinawatimes.co.jp

ドローンプロジェクトによる撮影で、汚濁防止膜が

ジュゴンのえさ場である海底の藻場を損傷したことや

設置不備によって濁り水の流出を招いたことなどが

明らかになり、地元メディアがこの映像や写真を

伝えたことで、辺野古基地建設が

事実上不可能になったことが明らかになってきた。

しかし規制法案が施行されれば、

警察によってドローンの飛行妨害や機器の損壊が

自由に(必要な措置というが)出来るようになり

1年以下の懲役または50万円以下の罰金刑にすることが

出来る。これはまさに弾圧行為に等しい暴挙だ。

テロが懸念される五輪や政府の関連施設ならともかく

辺野古は米軍の飛行訓練の区域の範囲外だ。

だから基地が出来るまでは規制する理由がないはずだ。

まして政府が環境破壊どころか地盤が軟弱で

そのための補強工事ができないことを

覆い隠して強行させることは将来工事が完成しても、

普天間基地が米国の勝手なふるまいで永久に返還できない可能性

も不安視されている。同プロジェクトは伊江島

補助飛行場が強襲揚陸艦の甲板に見立てた

「LHDデッキ」を密かに完成させた事実も撮影で収めている。

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ryukyushimpo.jp

ドローンプロジェクトの取材行為が絶たれば、

米軍がどれだけ戦闘機やオスプレイを含むヘリの事故が

起きてもそれが検証させることが出来ない。

そして辺野古不法行為に満ちた埋立て行為をやっても

メディアに広く知らしめることが不可能になる。

また「東京新聞」のけさの特報面(上の写真)では

ドローンが危ないものだとの誤解を解くには一定の規制が

必要だが、産業の発展を阻害するものであってはいけないことや、

禁止区域が拡大すれば企業や一般の利用に影響すると考える

とする識者の意見もあった。

沖縄の不正を隠そうとすれば、日本全体の新たな成長を

自分たちでぶっ壊すことになることをよく考えることが、

いまの政府に求められることである。

 

小型無人機等飛行禁止法等の一部を改正する法律案(概要)

https://www.cas.go.jp/jp/houan/190305/siryou1.pdf