森の映画社からの報告③( #琉球弧 #鹿児島 #徳之島 #奄美諸島 #自衛隊 )

前回と前々回は森の映画社の

藤本幸久さんと影山あさ子さんからの

メッセージだったが、今回は

スタッフのカメラマンである中井信介さんの報告で

昨年の徳之島での自衛隊統合演習を取材して感じたことを。

「2023年11月19日、徳之島の花徳浜に

 一本のトラテープが貼られていた。

 ロープから海側では約20名の迷彩服を着た

 自衛隊員が銃を構え、

 蝋人形のように一点を見据えて、

 見た事のない敵を見ていた。

 そしてロープから集落側には、

 約40名の島民たちなどが居て、動かない自衛隊員たちを見つめていた。

 武装された隊員を市民の距離は短い所で2m、

 手を伸ばせば届きそうな距離だ。

 中には幼い子供を連れた家族も見られた。


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 子どもたちは恐怖に泣く事もなく、

 興味津々で水陸両用車や隊員たちを見ている。

 訓練を見学に来ていた人たちの中には誰一人として

 抗議の声を挙げる者はない。

 それを撮影していた私は

 『抗議の声を挙げないと、

 (訓練は)ここまでやるんだ』と空恐ろしく感じた。

 そんな私とは対照的に、二人の幼い子どもを連れた母親にとっての

 自衛隊訓練は、動物園も遊園地のない島での

 数少ない子どもが喜ぶイベントだったと言う。

 それが訓練を見た彼女は、

 『今日、娘から「戦争になるの?」と聞かれて、

  「なるかもね」って答えました。

  訓練を見た事で戦争が身近に感じられたんです。

  もしも戦争になったら、島で生きていくために

  農作物を作って自給自足できるようにならないと・・・』と、

 もうすぐ戦争が始まるかのような事を言った。

 また、遠くから水陸両用車を眺めていた高齢の男性は

 『もしも中国が攻めて来たらジッとして

  殺される訳にはいかんじゃないですか。

  戦争というのは人と人との殺し合いです。』


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と言った。

 この日、花徳海岸に訓練を見に来ていた人に限らず、

 11月10日から行われていた統合演習によって

 忍び寄る戦争の不安を感じた島民は案外多かったのかもしれない。

 というのは自衛隊基地が無く、訓練に反対する人も殆ど居ない

 徳之島での統合演習には、総勢1500名もの自衛隊員が参加し、

 海岸線を中心に15か所以上で拠点をつくって

 幅広い訓練が行われていたからだ。

 吉田圭秀統合幕僚長

 『徳之島においては、島嶼防衛作戦、水陸両用作戦、

  空挺作戦、徳之島空港を使った起動展開運用訓練、

  負傷者が出た時の救護訓練、

  ・・・それから宇宙、サイバーの領域も連携して

  訓練を行いました』と言った。

  そして『普段行っている訓練では、

  限られた演習場内を島に見立てて訓練を行っているが、

  ここでは実際に海があって、島という地形、

  気象の中で実戦的な訓練が行える意義は大きい』

  と言っていた。

  つまり演習場という囲いの無い徳之島では期間中、

  島の様々な所を演習場にして

  実践的な訓練が行われ、その中に島民が居た可能性がある。

  島民から聞いた話では、

  『基地が出来ると有事の際に標的にされるから嫌だけど、

   訓練で一時的に来るだけなら良いじゃないか』

   という意見が多かった。

  しかし、その訓練によってウミガメの産卵地で

  白砂の美しい花徳浜に有刺鉄線が張り巡らされ、

  水陸両用車が轟音を立てて走り回り、

  砂浜はキャタピラの踏み跡だらけに

  されている。

  ふるさとの自然や安全な暮らしを守るために

  反対の声を挙げることの大切さ。

  そして反対の声を挙げないと

  何をされてしまうかという事。

  その恐怖をヒシヒシと感じた

  徳之島での自衛隊統合演習だった。」


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(カッコ内は私が付け足し。屋久島沖で米軍オスプレイが墜落したのは

 11月30日のことだった。この項終わり。)

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