パギやんは「在日関西人」

7月31日から1泊で大阪に行って

「新聞うずみ火」の黒田清さんを追悼し、平和を考える集い2021に参加した。

その前提となるこの話を。

 

「『在日韓国・朝鮮人』という行政用語がありますが、

 この頃は『在日コリアン』となぜか言われるように

 なりました。

 しかし、この『在日コリアン』という言い方に、

 僕は嫌悪感を覚えます。

 何で英語?・・・そう思いませんか。

 日本語には『チョーセン』という差別語がありますし、

 『韓国・朝鮮』は長いし・・・というわけで、

 『在日コリアン』にはご都合主義がプンプン匂います。

 僕はアメリカ人ではないのですぞ(笑)」

 

ごめんなさい!

私はツイッターハッシュタグでよくこれを使うんです。

でも当事者からすれば嫌悪感を持たれても仕方はない。

日本人なのにジャパニーズ、それどころか

「ジャップ!」とよばれちゃイヤになるのと同じだ。

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6月22・29日の東京新聞朝刊「生きる」欄で載っていた

「パギやん」こと趙博(ちょう・ぱく)さん。

予備校講師から歌手活動を繰り広げて

いまや「浪花の歌う巨人」とまで呼ばれ、

あの永六輔さんとの交友も重ねた

知られざる有名人だ。

今年もコロナ禍のなか東京の下北沢でライブをやったが

人数と時間制限と自粛要請で泊る宿にも困って

知人宅にお世話になりながらもなんとか完遂したと

狭山・入曽での会食で知り合いから聞いた。

キャンセルはできなかったということだ。

 

ちょっと横道にそれたが

パギやんは在日韓国人であり在日朝鮮人でもある。

朝鮮とは北朝鮮朝鮮民主主義人民共和国)のことではなく

「日本のお隣の朝鮮」の民族と歴史的認識で名乗っていること。

そうであっても生まれも育ちも大阪府

ずっとここで人生の大半を過ごしているから

いまでは「在日関西人」ということに。

国籍のこだわりよりも「大阪人」というほうがしっくり来ている。

そこからだと。

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(前述の集いのパンフレット広告より。) 

パギやんは国籍を事由に

選挙権やその他の権利を剥奪されている。

あのウィシュマさんのことは他人事とは思えない。

自分も「在留資格」を常に意識する毎日を送っているからだ。

だからこそ国籍を相対化して考えてほしいと訴える。

日本国籍を前提に物事を考えないでほしい、

日本には日本人と非日本人も

共に一緒に住んでいるという現実を見つめてもらいたいと。

これはとても難しい。

自分の身近なところに「非日本人」というより

パギやんのような存在と出会い知り合い

とことんつき合わないとわからないことが多いからだ。

しかしいまでは外国人の存在が

学校・職場・地域で身近にいるようになってきているはずだ。

この訴えを受け止めるには

自分の周りをもう一度見つめ直すことから始めなければ

意識しなければ、そうしないと

差別と分断ばかりが拡がってしまう。

パギやんは大阪を中心に

ずっと身近な日本人と在日朝鮮韓国人との

橋渡しをやってきたのだ。

そして歌でさらにその出会いと通じ合いの輪を拡げ続けている。

 

私がパギやんの歌を初めて聴いたのは

2012年・代々木公園のさようなら原発10万人集会。

「サントワマミー」を替え歌にして

鋭い社会風刺を響かせたが

shiraikeの東日本大震災日記―2012年7月16日・さようなら原発10万人集会 (coocan.jp)

これ以降ライブで聞いたことはない。

そのパギやんの歌に

「グーチョキパーのうた」があるのを

上の記事で初めて知った。

小田実さんの出会いがきっかけでつくられたそうだが

たしかにじゃんけんのなかで一番強いのはない。

みんな強くてみんな弱い。

だからそれぞれを認め合い仲良くしていくことが大事なのだと。

そこから差別と貧困がなくなるきっかけに。

 

いつかパギやんの歌がまた聴ける日まで

わすれないようにしよう。

それからパギやんが編集などで関わっている

在日(朝鮮人総合誌「抗路(7号)」も

むのたけじ地域・民衆ジャーナリズム賞優秀賞を受賞した。

おめでとうございます。

浪花の歌う巨人・パギやん(趙博)さん (@paggie_CHO) / Twitter

 

(追記)31日には大阪「城北ハッキョを支える会」の事務局代表の

大村和子さんと久しぶりに再開して

お声をかけていただいた。

気が付かなくて恐縮です。

14日に東成区民センターで映画「私はチョソンサラムです」

公開予定だったのが緊急事態宣言に中止になったのは

とても残念です。

「私はチョソンサラムです」紹介動画(日本語字幕付き) - YouTube