菅義偉は令和の「元勲」を狙ってるのか?

きのうの日刊ゲンダイ3面の記事。

27日の安倍晋三国葬で友人代表(?)として

追悼の辞を述べた菅義偉前首相が

高評価を得ているという。

とくに「衆議院第1会館1212号室」、つまり安倍に割り当てられた部屋に

読みかけの「山県有朋」(岩波新書・岡義武著)があった。

ここまで読んだらしいページには端が折ってあり

そのページにマーカーペンで線を引いたところが

「かたりあひて 尽しし人は先立ちぬ 今より後の 世をいかにせむ」

これが自分自身の安倍氏に対する思いだと述べたことに

多くの感動したという書き込みがあって

同書が大手書店で売り切れ続出、

アマゾンでも売れ筋ランキング1位に躍り出たそうだ。

しかし、なんで安倍晋三山県有朋の本を読んでいたのか?

そんな疑問を感じてしまう。

もちろん同じ山口(長州)の出身だから

当たり前だろうという意見もあるだろう。

しかし、山県有朋はどちらかというと

安倍晋三とは対照的な政治家人生を送ってきた。

伊藤博文とは松下村塾からの盟友だったが

その歴史的な知名度は極めて地味で

第1回帝国議会(初の衆議院議員選挙後の)の時に

内閣総理大臣(首相)についたが、立憲自由党立憲改進党などの「民党」の

「軍備拡大よりも困窮者を救え」という訴えを押されて

予算通過に立ち往生して、民党の要望の一部を受け入れることで

やっと予算を通すことができたが

この直後に首相の職を辞し後任に伊藤を推したが

周囲からの反対で

薩摩藩出身の松方正義に明け渡したというエピソードがある。

そして伊藤や松方が日清戦争後に政党との連携を模索してたときに

これに反発した藩閥(薩摩・長州)官僚が

山県を旗印にした派閥を形成し

それ以降「山県有朋は政党嫌い」というイメージがついて回る。

明治末期から大正年間まで暗殺死された伊藤に代わって

「元老」として総理選びや閣僚の構成まで介入するまでの

力を持ちながらも、

新たなデモクラシー(立憲民主主義による国民行動)に

何度も屈した。

2度も首相になりながらもあまり歴史に名を残せなかったのが

伊藤・松方のほかに桂太郎(安倍の前の通算首相在任1位)と

西園寺公望、さらに立憲改進党をつくった大隈重信早大創始者

といった「元勲」たちの歴史的活躍のほうが目立った感じで

とても「自分大好き人間」の安倍晋三が興味を持つような

存在とは思えない。

ただ考えられるとすれば

この本を読み終わったら自分を支えてくれた

菅義偉にこれを託そう、と思っていたのだろうか。

日刊ゲンダイの記事では

この弔辞で再評価が高まって

また総理再登板の声が出てくるのではと指摘している。

しかし官房長官を長く務めたこの人のことだから

以前から言われていた「勉強会」を立ち上げて

山県有朋のように、

令和の「元勲」を狙っているのではないかと

私はそう見ているのだが。

果たしてどうなるだろうか?

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