「引きこもり 心の扉を叩き続ける」とは 石川満さんの場合

「引きこもり」からを脱出させるよりも

その当事者と対話するだけでも、

どれだけ苦労することかはわからない。

時には心を鬼にして全面的に

戦争めいたことを仕掛けてでも

「更生の道」へ無理矢理持っていくこともあるようだ。

しかし、この人物は

まったくそういう雰囲気がなく

最初はわずかに言葉をかわすだけで

それが半年から1年続いて

そこから少しづつ声をかけられた所で

一緒に食事に行き、

そこでもなにげない会話をかわして

そして少し経ったころに

言葉の通じない外国に旅をする。

そこで自らの好奇心のままに

歩いて何かを見つけ出すことを

ただだまってついていくだけ。

 

こんな誰も考えられなかった

引きこもりの救済を

たった一人でやり続けている男がいた。

きのうの深夜、NHKの

「プロフェッショナル 仕事の流儀」で見た

石川満さんだった。

この人もまた小学生のころに

「いじめ」にあい、たいへんな

人間不信に陥る。

大学に入るも海外に飛び出して

フィリピンのスラム街にいた時に

発熱で動けなかったときに

周りの人々がわずかな物を与えてくれたことから

人間は決して悪い存在じゃないと

周りを見直すようになる。

帰国後放送関係の仕事をするようになったことを

きっかけに引きこもりと向かい合うようになるが

最初は取材目的で話を交わすようになったのが

次第に、相手の心を癒すことは

自分の心が癒されていくことでもあるように

気づくようになった。

石川さんは医療機関や前述のようなことをする

支援団体からさじを投げられた

重度の引きこもりを持つ家族からの

依頼が絶えないという。

その一方で

「オレの名前を利用するな、このデブ豚野郎」

「この偽善者が」と汚い言葉を

当事者から浴びせられることもある。

映像ではジムで汗を流す姿もあるが

これは決して「戦う」ためにするのではなく

あくまでも心を平静に保つために

やっていることだそうだ。

そして粘り強く対話を重ねた後に

「いままで一度も笑ったことがないから

 笑うことの止め方が分からない。」

「結婚のことなんて考えたことがなかったけど

 そのうち意識することができるだろうか。」

「優しい人たちに囲まれていることが

 やっとわかってきた。」

「いままで列車で後ろ向きに座って

 40分なんて無理無理と思ってきたけど

 それは自分がチャレンジしようとしなかっただけ。」

その言葉を引き出したところから

「立ち直り」への希望になっていく。

心の扉を絶えず叩き続けることは

その言葉が出て来ることを待ち続けるだったのだ。

それが石川さんの仕事の流儀。

しかし、番組の最後で

「プロフェッショナルとは?」の問いに

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プロにならずに

マチュアリズムで今の仕事を

高みに持っていけたらいいと。

ここまで自然体で自分の目的に

近づけられるからこそ

引きこもりの殻を

破ることが出来るのかもしれない。

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