「表現の不自由展・その後」が潰された日

悔しくて、残念で、怒り、悲しい。

8月1日から愛知芸術文化センターで始まった

あいちトリエンナーレ2019の企画展

「表現の不自由展・その後」で展示されていた

平和の少女像(韓国の彫刻家キム・ソギョンさん(54)と

夫のキム・ウンソンさん(55)が制作。)を巡ってクレームや

「ガソリンを持って火をつける」(京都アニメーション放火事件を連想させる)

などの圧力を受け、わずか3日間で中止に追いこまれたのだった。

「国などの公的資金を使った場で展示すべきではない」

河村たかし名古屋市長の発言より)

というのが主な抗議の理由であるが、

公的な支援を得た芸術行事に

政治的な介入があること事態が前代未聞であるし、

なにより暴力的な行為に対して

言論・表現の自由を守るという

断固とした処置を愛知県がやろうとしなかったのは

憲法に反する愚行だとしかいいようがない。

少女像については従軍慰安婦問題を連想させるというが

だからこそ「なぜ展示されなかったのか」を考えてもらう

きっかけとして企画されたのに

これが握りつぶされたことで、

日本の民主主義は「ウソ」だということ。

そしてこれが

多くの国民が知らないままになることが

許せないし、最悪でもある。

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私が「表現の不自由展」を見たのは

2015年が最初、第1回のころから。

そのころは

「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」

が、さいたま市の公民館だよりに掲載されなかったこと

が大騒動になり、

この時のその俳句が色紙で展示されたことが

大きな注目を集めた。

またニコンサロンでの展示を拒まれた

安世鴻さんの作品(従軍慰安婦がテーマ)や

今回愛知で展示された作品も展示されていたが、

前述の俳句が裁判で争われたことで

一番の注目を集めていた記憶がある。

その時にあの少女像も展示されていた。

しかし安さんの写真のほうに関心が集中して

さらっと見ただけで終わった気がする。

そのとき行われたトークイベントで

会場のギャラリー古藤の方から

「期間中は右翼がここを襲ってくるかもしれないと

 警戒を厳重にしなければならず、気が気でない状態だった。」

と語っていたことを思い出す。

日本は先進国であっても

本当の芸術が政治的圧力によって

自由な表現が認められない国になった。

それも「世論の多数が認めないから」という

陰湿きわまりない理由によってだ。

「戦後最大の検閲」まさにその通りである。

芸術監督でジャーナリストの津田大介さんは

記者会見で「劇薬になってしまった」と語っていたが

むしろこれくらいやらないと

いまの社会全体が決して良くなるわけがない。

萎縮と誘導が権力によって操作されることに

慣れたらいけないのである。

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