続・「令和」識者の見解を新聞記事から

26日、「新聞うずみ火」の5月号が届いた。

トップ記事は4月12日に開かれた「うずみ火講座」

について。講師は元大阪市立大学教授で

日本会議とは何か」(合同出版)の著者である

上杉聰氏。

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(写真はすべて賛助会員限定の増刊号)

上杉氏も「令和」の由来については

「(安倍)首相は日本独自であることを強調するが、漢字は中国から

 伝わったもの。その漢字の一部を取ってできたのがカタカナであり、

 ひらがなは漢字を崩してできたもの。日本語で元号を作れと言って

 もできるはずがない。すべて中国からの借りものなのですから。」

として、引用元は後漢時代の学者、張衡の著名な詩「帰田賦(きでんのふ)」

の一節「於是仲春、時和気清」を踏まえていると言われていると、

その頃の人(大伴旅人も含めて)は漢文の言い方を似せて書いたら

教養人と思われていたのだから、当然中国の影響を受けていると。

(ちなみに旅人のほうは「初春令月、気淑風和」)

そして「令」についても「~せしむ」と使役の意味があり、

基本的には上の命令であると。

令嬢や令息などいい意味もあるが(中西進野田秀樹両氏とここは同じ)

こびへつらうという意味の「巧言令色」、

小役人と蔑視する「令吏」もあるとし

「忖度のもとでの平和」と言うべきでしょうかと語っている。

ここは私も同意するところで野田秀樹氏の意見と同じ点がある。

さらに上杉氏は、天皇について

「制度」と「個人」とに分けて考えたいとして

天皇個人も「天皇制」の犠牲者で、この制度から解放してあげたら

どうかと話したと記事が伝えている。

その理由として平安時代摂関政治から戦前、戦中における

軍部における戦争へ利用された歴史において

「政治に利用され続けてきたことから」

さらに2つ目の理由として、皇室は「家」制度だからと。

昭和天皇のひ孫の愛子さまは両親、4人の祖父母がいて

8人の曾祖父母がいたわけだから、

正確には天皇の血は8分の1しか流れていない。

これが24代後になると1億分の1になる。

今の天皇神武天皇から125代目で万世一系の血筋が

脈々と続いて来たというが、「血」でつながっているのでは

なく「家」で代々受け継がれているから

女系は消されて男系をたどれば神武天皇に行き着くと

言われているが、

「男女男女とたどって行けば誰にたどり着くでしょうか」と。

昔は男系の血筋を絶やさないために11もの宮家があったが

戦後にGHQの命令で皇籍離脱となり

それが「女系天皇」などの議論への対案として

宮家として復活をと言われているが、

「家」でこだわることは人間としての生き方に

反することであり、これは天皇の生き方にも

あてはまることであることかもしれない。

上杉氏は、日本国憲法1条の

象徴天皇制についても「不安定な存在であり、国民が『ノー』

と言ったらなくなってしまうのです。憲法がもたらした

天皇制の危機を乗り越えるため、採られてきたのが

国民大衆への依拠だった。」として

公務にかなりのウエイトを置いてこられたと解説した。

しかし肉体的限界を感じて「おことば」を発せられたことで

生前退位へ動いた時に「日本会議」の幹部や改憲派

憲法学者があたかも天皇憲法に反して自分の意思で

政治介入して自分の尊い立場を忘れていると批判したことは

「退位を認めれば<パンドラの箱>が開く」ことに彼らが

強い危惧を表明したとして、これが

天皇制を守るために個人としての天皇が犠牲にさせられている

証拠であることを指摘、当然彼らの言動を批判している。

最後に、憲法に書いている人権条項を可能な限り認めていくことで

天皇を限りなく「人(というより人間)」に近づけていく、

その時「万世一系天皇」という幻にとらわれていたことに

日本国民自らが気づくのではないかと。

確かにそれが一番であると思うのだが

即位騒ぎで日本中が浮かれている状態で、

昭和天皇が現憲法制定前に「人間宣言」をしたことを知っている

国民はどんどん少なくなっている現実がある。

もう一度新天皇は「再・人間天皇宣言」をしたほうが

良いのではないかと思う。

ある意味であの「おことば」はそれに近いものを

示唆しているのではないのか。

蛇足ながら上杉氏は部落(同和)の歴史は

平安時代葵祭天皇行幸する際、河原人が

祭りの清めをしたのが発祥だとして

(実際に差別用語として「河原者」「河原乞食」がある)

彼らは「不浄の者」の故をもって「禁中」の出入りが禁じられ

これが差別の歴史を現在までつなげている、

長い理不尽の根拠が天皇、というより「天皇家」にあると

講座の中で話したと記事に書かれていた。

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