「令和」識者の見解を新聞記事から

新年号について新聞記事ではその意味を解釈することで

ずいぶん多くの識者が意見を出しているが、

やはり「令」については意見が分かれるところだ。

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考案者と噂されている国文学者の中西進氏は4月17日付の「読売新聞」朝刊の

インタビューで、「令」について「善い」と辞書の中にその意味があると

引いた上で、第二の意味として令は律なりという定義があり、

それは法律の律であると認めた。

その一方で、命令という意味があるから反対だと意見を述べる人に

対して、あなたは悪い命令でも聞きますか?と聞きたいとした上で

どういう命令を聞くかというとそれは善い命令だと。

そしてそのような善き振る舞いが出来る人が令嬢であり令息であり

だから「令」は言葉として美しいし善いものだと考案者は考えたのだと。

(決して自分だとはコメントしなかった。)

これで思い出したのは以前ニッポン放送垣花正・あなたとハッピー!」

にコメンテーターとして出演した漫画家・やくみつるさんが

「令という言葉には令嬢として美しいことに使われるということで

 (安倍首相の)明恵夫人を連想した。あの人も

 森永製菓の創業者一族のご令嬢ですからね。」と

言ったことだった。

昨今の政治は国内外を問わずご令嬢やご令息(現首相もそう)

が善い命令に従うどころか、悪い命令にどんどん従い

悪い命令を出す前に周囲に対して「忖度」をさせて,

それが当然だと振る舞っているのだから

このような悪い常識は平成のうちに終わらせるべきだったと

いう識者はいまのところ、いない。

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4月18日付「東京新聞」朝刊芸能文化面では演出家の野田秀樹

のコラム「ゴーイング・マイウェイ!」では

「令和」が英BBCや他の海外メディアが「order and harmony」などと

訳したことに官邸が激怒し、慌てて外務省が「Beautiful Harmony」と

公式発表して火消しに努めたことに対して、

英訳が必要なときは少ないから大したことはないとして、

新年号が「令和」と知ったときに、漢文の訓読で用いられる

「仮令(かりたとい)」の「令」という言葉が浮かんだとし

「これであれば令和の英訳は『If...harmony』である

 それはないないない。すぐにそう思った。」と。

今時「令」を美しいとして用いられるのは上司の奥さんだから

「美しい」といったように尊敬語、すなわち「ご令嬢」

「ご令息」ということで用いられるのではと指摘したのは

中西氏と同じ意見、しかし野田氏はふつうの人にとっては

「令」は「order(命令、指示として) 」と考えるほうが自然だと反論。

さらに安倍首相が記者会見で話した「人々が美しく心を寄せ合う中で、

文化が生まれ育つ」について「美しく」とは何かについて

「何かわかりにくい」と疑問を呈した。

美しく心を寄せ合うこととは何か?心を寄せ合うことが

美しいのではないか?醜く心を寄せ合うことなんてあるのと

突っ込みたくなると。

そして「美しい」というのは芸術に携わる側のコトバで

あって政治の時につかうべきではないと。

私もこの意見に同意できる。

政治が情緒的に「美しい」を使うことが如何に危険なことに

なってしまったかということは前述の通り。

野田氏もこの点を強調していた。

 

年号の政治利用でもたらされた論争はいずれは世論から

忘れ去られてしまうだろうが、少なくとも

「令和」という新しい言葉(中国にはあるが)

を日本人は新たに生み出したのは事実だ。

だからこそ、この言葉の意味を自分たちで創るということ

を忘れてはいけない。この新時代はまだまだ先の

見えないことばかりだからこそ、様々な意味を見いだしていきたい。

そして新しい意味を探すことから、この時代を動かすことも考えていきたい。

次に年号が変わるときに、この時代に生まれて生きて幸せだったと、

誰もがそう思えるように。

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