本のリサイクル

埼玉県立久喜図書館の「本のリサイクル」では、おもに70年代から80年代の本がたくさん並んでいました。一部には表紙に痛みのあるものもあって、多くの人の手に渡ったことを感じさせる本もありました。でも種類は豊富です。よく見ると
久喜図書館だけではなく、浦和や熊谷などすべての県立図書館から集めているとのこと。ミステリーの文庫本もありましたし、小学生むきの文学作品や学習図鑑もありました。私はジャンルには関係なしで16冊もらってきましたが、一番の掘り出し物は、映画評論家淀川長冶さんの「私はまだかつて嫌いな人に逢ったことがない(1973年・PHP研究所)」でした。淀川さんといえばあの「日曜洋画劇場」の「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」でおなじみだったのですが、数年前に亡くなってどれだけの方が覚えているでしょうか。この本の題名は淀川さんが以前、TBSラジオの「永六輔の土曜ワイドラジオTOKYO」にゲスト出演していた時によく話していた言葉で、よくそこまでのことができるものだなあと思いましたが、その人生哲学はみなすばらしい映画をみることで培われたことがこの本のなかでたくさん出てくるのです。数々の名シーンに学ぶ真の美しさ、人生のありかた、タイトルの日本語訳の話を交えて映画で英語が好きになったこと、映画評論を通じてチャップリンなど多くの映画関係者との出会い、あの「サヨナラ…」は「ララミー牧場」の解説を初めてテレビカメラの前でやった時に、時間になったとの指示が入ったときにとっさの思いつきでやったらいつのまに定着したというエピソードも入っています。またお母様が亡くなった時のことや、複雑な女系家族に育ったことから生涯独身を決めたことなど、いま起きている社会問題を予言しているような内容もあったので、この本は廃刊になってほしくないなあと思いましたが、どうなっているでしょうか。残りの本はまた明日に。