カレンダー

昨年お世話になった「原発いらないふくしまカレンダー」の2018年版。
今年は作らなかったようなので別のカレンダーにしたのだが
取り替えた後も読み物や原発事故以降の記録が載っていてすぐに捨てるには惜しいものがある。
きょうはこの詩を記録として転載したい。

 草茫々 小島力

 草茫々 田畑茫々 村一つ荒れ果てて茫々
 二年前 玉蜀黍(とうもろこし)畑を風が渡り
 大根の葉先に朝露が鈴生りのその畑に
 ささやかな豊かさに満ちたその山畑に


 草茫々 野道茫々 蔦かずら絡み合って茫々
 幾年月 牛を牽き耕運機往き来し
 何千回何万回の足跡を印したその道に
 暮らしの汗したたり地にしみた
 その畦道に
 
 草茫々 我が家茫々 軒先を埋め尽くして茫々
 かつての昔 子たち孫たちの歓声はね返り
 バーベキューの焚き火燃え盛った
 その庭に生きて暮らした思い出消えやらぬその庭先に

 草茫々 ふるさと亡々
 わが涙滂々
 
 草茫々 何もかも亡々
 悔し涙滂々
(詩集『わが涙滂々 原発にふるさとを追われて』西田書店刊より カッコは私がつけた)

この詩で思い出すのは原ノ町から福島駅までのバスで
飯館村を通過した時に見た風景だった。
山や林が一見そのままになっている中に
畑や田んぼが空っぽになって、そこにはたしかに
草ぼうぼうに荒れ果てている様がそこにあった。
そして黒いフレコンの袋詰めになった汚染土が積み上げられていた
それを遠目に見ていたあのことを思い出す。