先週買ってきた、上野玲著「うつは薬では治らない」を読み終えた。
本当にその通りなんだよと何度感じたかわからないほど、この本は
本当の「うつ病患者」の気持ちを代弁した本なのだ。
死にたいと思う気持ち、何もしたくない気持ち、これがいつ襲ってくるかわからない。常に不安と恐怖の毎日。
でもこの状態は必ず解消されるはずだ。うつ病の治療を受ける時は
わずかな希望を抱いて病院に行く。その勇気と決断は重いはずだ。
「薬と休養」で治るものなら、「うつは心の風邪って本当なんだな。」
ということで誰もが治療を受けて休養を取ることに何のためらいをもたず
そしてうつ病患者は日本国内で100万人を越えた。
私はこの状況を「昔に比べて良い時代になった。」と思う半面、「薬と休養だけでは治るほどうつは甘くない」
と思ってきた。
うつ病が治ることはどんな状態になることか?どんな苦しい状況でも我慢ができることなのか?
あらゆる心の傷を受けてもヘラヘラ笑っていられる人間になれということなのか?
それは違うと思う。人間長く生きればどんな人間でも「うつ状態」になる。
うつ病が「うつ状態」との違いがわからないのならば、うつ病の原因が
いまだ「セロトニン仮説」というのなら、薬や休養で治るほどなまやさしいものではないはずだ。
この本では最新の抗うつ薬・SSRIの効用は実際にはないに等しいことと、
その副作用の問題をとりあげている。
私の主治医も「薬が効いてきたかなと思ったら、毎日から2〜3日に間隔を開けてみて、それでいい状態なら
さらに間隔を開ければいいですよ。」と私に話してくれた。
その私が飲んでいる薬もSSRI(デプロメール)である。
そして朝型生活に改善して少しでも外に出るようにすればいいとアドバイスをくれた。
治療を受けて1年。薬以外にゴルフ、ボランティア活動などで自分なりのカスタマイズ(本を参照)した
リハビリ法でなんとか新しい生き方を考える自分にたどりついた。
「うつ状態」になっても「患者化」しないところまであと少しまでになった。
本当のうつ病治療は薬や休養だけでなく、家族や社会そして地域や国が
もっと正しい理解と広範囲なバックアップをすることの必要性を訴えている。
また「うつ病」を自称する「新型うつ」が増える風潮を批判しているが、これも同感だ。
本当の「うつ病」患者がみんな適切な治療が受けられる社会になるように。
この本の投げかけた問題は重いのだ。
- 作者: 上野玲
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/05
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