きのうのwebニュースで注目すべき記事があった。
21日の柏市議会(千葉県)定例会の答弁で
100年前の1923年9月に起きた
福田村事件について
「亡くなった命の尊さを思うと誠に心が痛む」
被害者に哀悼の気持ちを示した。
市が議会で犠牲者らに弔意を示すのは初めてのことだ。
香川県の行商人の一団が
朝鮮人と間違われたことから
田中村(いまのつくばエクスプレスの柏たなか駅周辺)の自警団が
隣の福田村(いまの野田市の北東部)で虐殺行為を行ったといわれる
この事件はまったく地元でも歴史的事実として
語り伝えられることがなかった。
上の写真は先月8日の東京新聞夕刊社会面の記事を切り抜き保存したもの。
1979年に地元の主婦が中心の
「千葉県における関東大震災と朝鮮人犠牲者追悼・調査実行委員会」
のメンバーが初めて犠牲者は香川の行商人であることをつかみ
1983年に香川県に調査を依頼すると
当時の県歴史教育者協議会の会長が
生存者を探し出し、
現場に居合わせた被害者の「証言」が得られた。
さらに、1999年に流山市で同人誌を主宰していた
辻野弥生さん(82歳)が
ある人から地元の人にはとても書けないからということで
事件の資料を持ち込まれたのを機に
2013年に「福田村事件 関東大震災・知られざる悲劇」を
新書版で出した。3刷を重ねるも版元が経営難で解散(2019年)。
しかし関東大震災100年ということで
絶版を惜しんだ「五月書房新社」(東京)が
増補改訂版の発行を提案し、復刊した。
さらに極めつけは
森達也監督による映画化だ。
太田和美市長はもともと
民主党の代議士から
柏市長に転じた人で、
追悼文を出すのを止めた
きちんとした形で福田村事件への関心と
被害者への哀悼の意、
きちんと答弁で回答したことは
とても高く評価すべきだと思う。
なお、事件の発生場所だった
いまだに福田村事件へのコメントは出していない。
誰かに突っ込まれるまで沈黙を貫くのか。
情けないとしか言いようがない。