与野党揃って踏み込めない 憲法9条の未来像

11月4日の読売新聞解説面は

論点スペシャルと称して

自民党立憲民主党

憲法調査会(自民は改憲の推進本部)代表に

改憲」についての考えを聴くという

企画記事をやっていた。

f:id:shiraike:20201109232418j:plain

公布74年の憲法論議というが、

結局は「何が何でも改憲」のムードづくりが

プンプンするような構成になっている。

改憲案を過去に出した読売だから仕方がないが)

 

自民党の代表である衛藤征士郎氏は

年内に改憲の条文をまとめると発言したのは、

野党から自民はイメージだけで

正式な改正原案を示していないとして

与野党にかかわらず各党が

改憲原案を持つべきだという

メッセージを出したつもりだとして

まさに自分たちが勝手に作った土俵に

乗っかってこいといった

挑発的イメージを感じさせる。

f:id:shiraike:20201109233401j:plain

ではその条文はどのようなものになるかという

「イメージ」とは、

自衛隊の根拠規定の明示と緊急事態条項、

参院選の合区解消と教育の充実をいうから

呆れてしまう。

衛藤氏は本当なら国会の一院制も入れたかったが

この4つの項目に集中したいと「封印」したそうだが

これでは安倍政権がやろうとして

挫折した内容を「再挑戦」させるといった感じで

改憲」の最大の論点となる「9条」が

ぼかされることは間違いない。

国民民主党と同じ論理で

「とにかく改憲という既成事実をつくればいいんだ!」

という、姑息な成果主義しか感じられない。

 

「『衛藤は突出している』と言われても、

 自民党は自主憲法制定から憲法改正へと

 党是の軸足を移しながら今日までやってきたのだから」

ということでこれまで遠慮してきたことに

確信をもって事に当たるべきだ、と言ってるが

これもよくわからない。

いつから自民党は自主憲法制定を目指すのを

やめたのか?

全く知らない。マスコミが突っ込まないのも理由だが

いっそのこと菅総裁からすべての国民に対して

そう言ってくれればいいのだ。

そうすれば国民も余計な警戒感を持たなくて済むはずだが

野党がだらしないことによる

慢心がそうさせるのか。

f:id:shiraike:20201109234635j:plain

いっぽう、立憲の代表である

山花郁夫氏の声を見て

「バカじゃないの!」としか

いいようのないことがいくつもあった。

日本国憲法が戦後日本における

民主主義発展の礎を築いた間違いない、

戦争の惨禍に見舞われなかったのも

憲法があったからと評価しておきながら、

「合流新党」すなわち、

いまの立憲は「護憲政党」ではないのだと。

これが一つ目。

個々の議員に護憲派改憲派という

色のついた議論をすべきではないのだと。

それではなぜ山尾志桜里氏を追い出すかのように

国民民主党に放りだしたのか?

これが二つ目。

山花氏は菅総理(総裁)は

安倍前首相よりも抑えめに憲法観を語っていたが

我が党の主張として憲法論議を語ると

うまくいかなくなってしまうと言ってるが

それでは立憲は独自の改憲の「イメージ」を

持っているのか?

たぶん支持者の大半も突っ込みたくなるだろう。

これが三つ目。

ではその後に何が書かれているかと言うと

臨時国会の召集に期限を設けることと、

24条で「同性婚」を認めることは

憲法改憲)の問題ではないかと。

それでは今後、立憲が推し進める「改憲」のイメージとして

構築するのかというとこれがはっきりしない。

議論が進んでいないのだろう。

しかし、代表個人の意見を言うだけでは

党内の議論が混乱を極めることになり兼ねない。

これが4つ目。

最後になってやっと

自民がずっと前から言ってた

災害時の国会議員の任期の問題や

国民投票法のことは憲法よりも

個々の法律の問題だと

マトモな違憲を出してくれたが、

結局、立憲民主党

いまの憲法をほんとうに護り

未来の日本や国際平和に活かしていくのかが

ハッキリ言って見えないし、

立憲に期待している支持者から

「裏切り者!」とののしられても

仕方がないのでは。

社民党が合流も巡ってもめたのも

納得がいくものだ。

これではまた日本共産党やれいわ新撰組

次期総選挙で票を取られてしまうのでは

ないかと感じざるを得ない。

 

アメリカ大統領選はバイデンさんに

当確が出たようだが、

沖縄や北朝鮮拉致問題については

明るい材料が出てこないという見方がある。

日本はますます「媚米」以外の道を選ばざるを得ずして

憲法そのものが空洞化される可能性は

高くなるだろう。

だからこそ9条から

日本が独自の平和政策を生み出すことを

憲法論議の中心に据えるべきなのに

与野党そろって

アノ条文コノ条文とか

この問題あの問題だと

あちこちそちこち論議を散らかすようなことじゃ

国民がついて来るわけがない。

 

安全保障問題が国会でもっと語られるべきだと

いう識者の声があるが、

いっそのこと憲法調査会以外でも

国会の各委員会で(予算委員会や外交委員会じゃなくてもいい)

9条の将来から考える

平和外交・国民生活や経済やエネルギーの安定のための

議論を積極的にやったらいいと

私は考える。

そうすれば総理の本音が見えてくるかもしれないし、

なんといっても、いまの政治家たちには

「なぜ憲法を改正するのか」という説明責任が

出来ないように思えるのだ。

だったら護憲を唱えるほうが

まともな違憲、いや意見だと

そう思いませんか?

www.nhk.or.jp

www.sankei.com

cdp-japan.jp

constitution.jimin.jp