ETV特集で知った 緒方貞子さんの功績とは

1月18日の深夜に放送された、

NHKテレビのETV特集

「すべての人々に尊厳を~緒方貞子が遺したもの~」

では、これまで難民問題に大きな仕事を果たした

緒方さんの取り巻く環境と

その過酷なところから

さまざまな行動と挑戦を果たしてきたことが

よくわかった番組だった。

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放送では2002年に放送された

「テロはなぜ生まれるのか~緒方貞子・ニューヨークで語る~」

の映像を交えて、

キャスターの国谷裕子さんが

緒方さんとUNCHR(国連難民高等弁務官事務所)で

仕事をした篠原万希子さんと

回顧録の編著でインタビューをしたことがある

納谷政嗣(上智大学特任教授)さんに話を聞く形で行われた。

まず、緒方さんが就任した時の

時代が(1991年)

冷戦が終結して、これまで先進国の価値観を

押し付けられた発展途上国

数々の内戦が勃発したことにあるということ。

これまでだったら、

欧米や旧ソ連などが大国の力で

混乱を収めて難民を救ってきたのが

この時はその動きが全くなく

PKOすらも動かなかった。

いわばUNCHRは

突然「難民支援」を理由に

国際政治の重要な問題を解決するために

放りだされるほうに仕事をさせられたということだ。

しかし、緒方さんは

予算のことなどを心配させずに

国際政治学者としての経歴を活かして

現場に積極的に足をはこび、

そこで見たことを

安保理事会の場で各国代表にきちんと

説明して、必要な支援を仰ぐことを

自分の立場を越えてやってきた。

それは自身が研究してきた

「政策決定過程論」にあるという。

すなわち、戦争がなぜ起きるのか、

そこから解決に至るまでのプロセスを

行動と思考で見つめていく。

決して頭でっかちで

正論を語るだけのことはしなかったという。

そして

「とてもチャーミングで

 お母さんに𠮟られているような雰囲気を感じさせる。」

(篠原さん)

が多くの職員たちの心を掴んだとも。

さらに

あの「9・11」の同時多発テロ事件では

テロを産み出したのは

社会の不安から来るものであり

これを戦争によって解決させることは

いかがなものかと指摘するも

前述の番組のインタビューから

4か月後にアメリカは

タリバン政権を倒すために

アフガニスタン空爆をしている。

後の総括では

UNCHRは難民支援の実績はあっても

国際的な紛争の解決には貢献できなかった

としているのも、

その現状を振り返ってそうまとめたと

されている。

いまの対米従属の安保路線を歩む

日本政府の考え方と

真逆な考えを持っていたのだ。

任期を終えた緒方さんは

JICA(国際協力機構)の理事長として

困っている場所にいち早く

支援の手を差し伸べるための

体制づくりにも尽力したという。

「日本は軍事力がない分

 非軍事的で貢献しなければ

 ならない。」

「本当のナショナリストとは

 インターナショナシストだ。」

「先進国ほど内向きになっている

 ことが問題だ。」

「本当の自立とは

 本当の総合依存をすることだ。」

「私たちはとても利己的な世界に

 住んでいるとは思えませんか。」

篠原さんとはかって

日本が元気がなくなっているのが気になるから

もう一度戻ってきてお尻を叩いてあげましょう

とも語ったということも。

 

混迷する世界情勢の中で

日本は自主的な動きが出来ずに

もがき苦しんでいる状態だ。

自国ファーストに反対し

そのような動きに悔しさも感じていた

緒方さんの思いはこれからも

忘れてはいけないと思った。

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