ICRP新勧告「年間1ミリシーベルトまで下げる」を緩和させる愚策と関西電力「黒い霧」事件

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9月17日の東京新聞朝刊「こちら特報部

国際放射線防護委員会(ICRP)が原発事故の復旧期の目標である

「年間1ミリシーベルトまで下げる」を

年間1ミリシーベルト「程度」までに変える

新勧告案を唐突に出してきたというのだ。

英文の原文では「the order of 1mSv per year」

この中の「order」を訳すると「桁(けた)」。

理系の言葉で解釈すると、

1ミリシーベルトの桁の数値の範囲内で良いということになり

除染が9ミリシーベルトで終わらせても問題はない

ということになるという。

この取りまとめは2013年から始まっていたというから

驚きだ。しかもパブリックコメント

すでに募集しているというから寝耳に水だ。

既に市民団体などが中身に疑問視があるとして

学習会を開いているというから

話がここまで進んでいたことに愕然とさせられる。 

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政府はこれまでの「1ミリシーベルトより下げる」とした従来の勧告には

強制力はないが基準として除染を進めてきた。

しかし、帰宅困難区域を除く計画的な活動を今春一通り終了したとしている。

ただ上の写真にもある通り、

1時間あたりに換算して0.23マイクロシーベルトの数値が出ている

スポットがいまでも多くあり、必ずしも目標が達成されたわけではない。

また小泉進次郎が大臣に就任した環境省では

汚染土を道路建設などに再利用する動きを進めているが

これも新勧告案を採用すれば

反対する自治体や市民側がその根拠を失う可能性が高い。

記事では日本政府が新勧告案にかかわったことへの

疑義について、

作業部会の議長を務める大分県立看護科学大学

甲斐道明教授(放射線防護学)が

原子力規制委員会が設置する放射線審議会の委員を兼ねていることや

副委員長の本間俊充氏も規制委員会の事務局職員であること。

また作業部会の上にある専門委員会にも

本間氏や規制委員の伴信彦氏や甲斐氏が名前を連ねていること

を指摘する。

新大臣はやたら福島の人の心に寄り添うような発言をしているが

果たしてこの事実を知っているのだろうか。

たぶん知らないだろうし、知ってて見て見ぬふりをするかもしれないから

この点を強く監視する必要がある。

それこそ除染そのものに何の意味がないとして

復興そのものを強制終了させることにもなり兼ねないからだ。

空間に漂う放射性物質は汚染水と違って

大阪まで持って行って流すことなど出来ない。

そして、普通の感覚では見えない「黒い霧」は

権力の手によって隠され続けてるだろう。

www.tokyo-np.co.jp

www.sankei.com

と、ここまで以前に書いていたら、

27日にこんなニュースが飛び込んできた。

関西電力八木誠会長(69)や岩根茂樹社長(66)ら

 役員を含む6人が2017年までの7年間で、

 関電高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役、

 森山栄治氏(今年3月に90歳で死亡)から、

 計約1億8000万円の金銭を受け取っていたことが、

 金沢国税局の税務調査で判明した。

  同国税局は昨年1月、

 高浜原発などの関連工事を請け負う

 高浜町の建設会社の税務調査を開始。

 森山氏が工事受注などの手数料として、

 約3億円を受け取っていたことを確認した。」

 (日刊ゲンダイデジタルの記事より抜粋)

 

まさに原子力発電所を巡る

「黒い霧」はこれからも日本全体を覆いつくして

苦しみと矛盾と醜悪を垂れ流し続けることに

なるだろう。

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