12月4日の東京新聞朝刊8面の
「こちら原発取材班」では、
1号機の原子炉上部に設置された
重さ500トン超もある
コンクリート製のふた(ウェルプラグ)が
水素爆発の衝撃でずれ落ちたことで
隣接のプールから使用済み核燃料を
取り出す時に大きな支障になっていると
伝えている。
なかなかピンとこない話だが
福島の場合はあくまでも
メルトダウンによって水素爆発が起きても
原子炉全体が破壊されたというわけではない。
しかし燃料デブリが下に溶け落ち
容器のコンクリートの壁を溶かした可能性が高いことは
これまでの東京電力の調査による発表からでも
推測されていたが、
今度は原子炉の上部でも
爆発によるダメージがあったことが
新しい事実としてわかったということだ。
そのふたは中央部がへこんで変形して
上段と中段は浮き上がり、
下段が原子炉は原子炉に乗っかる形で崩れた。
そこでふたのすき間から中段のふた上に
調査ロボットを投入して
正確な位置との差や
すると中段のふた上の表面近くで
毎時700~1970ミリシーベルト、
そのふたと下段のふたとの間の空間線量は
毎時340~1190ミリシーベルト。
付着した放射性物質も
そこから放たれる放射線も
かなりの高さになっていることが明らかになったのだ。
2号機~4号機の場合はこのようなことがなかったために
原子炉の格納容器の中で
放射線を封じ込めていることから
核燃料を取り出す作業を進められることが
少しづつ出来る目途がたっている。
(4号機はすべて取り出し済み。)
しかし1号機はこの状況のために
取り出しの時にさらに大量の放射線が外部に解き放たれ
周辺の空間に大きな影響を与えるだけでなく
ふたそのものがさらに崩れる可能性も
全くゼロとはいえない緊迫した状況になるかもしれない。
「もはや取り出しをあきらめて
チェルノブイリのように石棺にするしかありませんよ。」
以前から一部の専門家の間でも
このような意見が交わされたこともあったが
東京電力はあくまでも核燃料をすべて取り出す
方針を変えないようだ。
そうなると全ての作業が完了するまでに
さらに多くの工期と予算と人手がかけられることは
間違いない。
その苦難は国民の関心が薄れていくなかで
負担だけが増えつづけている。
なお記事では1・2号機の廃棄筒内に
降り注いだ雨水を貯める
コンクリート製の水槽から
高濃度の汚染水が地中に漏れている可能性があることを
伝えていた。