福島第一原発 8年後の廃炉作業の現況

f:id:shiraike:20191208010949j:plain

12月4日の東京新聞朝刊8面の

「こちら原発取材班」では、

福島第一原発事故廃炉作業中に

1号機の原子炉上部に設置された

重さ500トン超もある

コンクリート製のふた(ウェルプラグ)が

水素爆発の衝撃でずれ落ちたことで

隣接のプールから使用済み核燃料を

取り出す時に大きな支障になっていると

伝えている。

なかなかピンとこない話だが

原子炉全体が爆破したチェルノブイリ原発事故と違って

福島の場合はあくまでも

メルトダウンによって水素爆発が起きても

原子炉全体が破壊されたというわけではない。

しかし燃料デブリが下に溶け落ち

容器のコンクリートの壁を溶かした可能性が高いことは

これまでの東京電力の調査による発表からでも

推測されていたが、

今度は原子炉の上部でも

爆発によるダメージがあったことが

新しい事実としてわかったということだ。

そのふたは中央部がへこんで変形して

上段と中段は浮き上がり、

下段が原子炉は原子炉に乗っかる形で崩れた。

そこでふたのすき間から中段のふた上に

調査ロボットを投入して

正確な位置との差や

放射線量や放射線物質の付着状況を調べた。

すると中段のふた上の表面近くで

毎時700~1970ミリシーベルト

そのふたと下段のふたとの間の空間線量は

毎時340~1190ミリシーベルト

付着した放射性物質

そこから放たれる放射線

かなりの高さになっていることが明らかになったのだ。

2号機~4号機の場合はこのようなことがなかったために

原子炉の格納容器の中で

放射線を封じ込めていることから

核燃料を取り出す作業を進められることが

少しづつ出来る目途がたっている。

(4号機はすべて取り出し済み。)

しかし1号機はこの状況のために

取り出しの時にさらに大量の放射線が外部に解き放たれ

周辺の空間に大きな影響を与えるだけでなく

ふたそのものがさらに崩れる可能性も

全くゼロとはいえない緊迫した状況になるかもしれない。

「もはや取り出しをあきらめて

 チェルノブイリのように石棺にするしかありませんよ。」

以前から一部の専門家の間でも

このような意見が交わされたこともあったが

東京電力はあくまでも核燃料をすべて取り出す

方針を変えないようだ。

そうなると全ての作業が完了するまでに

さらに多くの工期と予算と人手がかけられることは

間違いない。

その苦難は国民の関心が薄れていくなかで

負担だけが増えつづけている。

なお記事では1・2号機の廃棄筒内に

降り注いだ雨水を貯める

コンクリート製の水槽から

高濃度の汚染水が地中に漏れている可能性があることを

伝えていた。

www.tokyo-np.co.jp