プロジェクトBurma取材報告会(1)山路徹さんが逮捕監禁されたこと

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23日の14時から、東京・渋谷のスペースサイゾー
APF通信社主催の「プロジェクトBurma取材報告会」が行われた。

(APF通信社代表の山路徹さんと取材に同行した報道カメラマンの富田きよむさん)
この会でもっとも注目を集めたのはテレビや新聞でも報道された、
山路徹さん「現地警察に逮捕・監禁」の一件だった。
11月7日、ビルマミャンマー)で20年ぶりに行われる総選挙で
国境に面している街ミャワディで武力衝突が起きるのではないかと予測した
山路さんら「プロジェクトBurma」取材班は、北部国境地帯の難民キャンプから
ミャワディに面するタイ側から川を渡って入ることにしたそうだ。
橋はあるが両国の軍隊が監視体制を敷いているからだ。

ビルマ人がタイへ出稼ぎに使う、タイヤチューブの船(30バーツ)に山路さんだけが乗って潜入。
「どう見たって日本人だってバレバレでしょう。」と突っ込みが入るような身なりをしても
周囲から怪しまれることがないままミャワディの街に入り込むことが出来たという。

(投票所前のお寺をペンカメラで撮影)
「今にして思えばもうそのあたりから公安は自分をマークしていたのかもしれないし、
 船に乗せてくれた時も、どうせ捕まっちゃうんだから乗せちゃえと思ったんでしょうね。」
街は選挙がおこなわれる時によくある一種の高揚感がまったくなく
静かだった。投票所などを撮影したあとレストランに入った時に
協力者から「今すぐここから出ろ」と電話があり、コーヒーを飲んだあとすぐに外へ出たが、
投票所の近くでサイレンを聞いてすぐ、近付いてきた黒いバンから出てきた警官たちによって
あっという間に山路さんは拘束され、7時間に及ぶ取調べを受けた。
自分の五十肩から取材仲間のことまで全部知りつくしたような質問内容に戦慄を感じたが、
「長井(健司)さんの(殺害されたときに持っていた)カメラはどうしたんだ。まだ見つかっていないと
 おたくの警察からそういう報告しか聞いていない。」と逆質問したら、
梅宮辰夫似の取調官にこういわれたのだそうだ。
「そんなことはあるわけがない。常識的に考えろ。政府が保管してるに決まっているじゃないか。」
その後、警察署の2階にある独房に監禁された。
「広さは2畳ぐらいで汚くて臭くて本当にブタ箱でした。中に入れられて少ししたら隣の房から手が伸びてきたので
 握手をしました。そして英語で、おれたちのためにありがとうと言ったんです。」
独房には民主化運動で逮捕された政治犯がたくさん拘禁されていて、握手した人は懲役20年、今年で15年目だとのこと。
「英語の本を差し入れしてくれました。読まないのなら枕代わりになるよとの言葉を添えてくれて、
 心配するな、お前は日本人だから数日たてば解放されるから大丈夫だと励ましてくれて、
 彼との出会いがなかったら気が狂うところだった。」
翌日、地元検察の判事が取調室に来て
「不法入国で懲役5〜7年。詳しいことは明日以降に決まる。」と言われ、
「(日本)大使館に連絡してくれ」といっても完全に無視された。
その次の日に警察署付近もRPG爆弾などの攻撃などを受け、
山路さんは独房で「起きたり伏せたり」しながらも
「21日には出られるよ。ここが攻撃されたら、俺が脱出させてやる。」と隣の彼に励まされた。
すると翌日、独房に判事がやってきて「出なさい」
そして「日本との友好関係を優先するため釈放する。」と言われた。
「彼らの態度は変わってました。梅宮辰夫似の取調官は笑顔でたばこを薦めてくれました。
 撮影用のペンカメラも携帯電話も返してくれました。でもそのときにやたらと写真を
 撮られました。何度も撮り直しがありました。おそらく日本大使館に所持品を
 全て返したと証拠として提出するためだったんでしょうね。」

(この話はつづく)

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