いやぁ楽しかった。
約2時間はあっと言う間だった。
「漫才協会 THE MOVIE 舞台の上の懲りない面々」を
去年、漫才協会の会長になった
ナイツの塙宜之さんが自ら監督(撮影監督は別の人だが)になって
漫才協会の歴史的経緯と現時点の活動から
未来の戦略をどう考えるのかというのが
テーマのようだが、
実際はホームグラウンドである浅草・東洋館でしか見ることのできない
浅草芸人の独特の世界をのぞき見感覚で
見せてくれたドキュメントバラエティだった。
肩がこらない雰囲気で
昔は漫才協会に入るには先輩芸人の紹介がなければダメだったが
いまでは塙会長が自らM-1やR-1で頭角を現したコンビを
積極的に勧誘したり、
東洋館で活躍していることは映し出され
本物のお笑い芸人を育てるための課題がさらけ出された。
職人社会、徒弟制度が成り立たないなかで
いかに本物の漫才師を育てるのかが大変だというのがわかる反面で
吉本興業や他の事務所が
学校を開いて本物になりそうな人材を一本釣りするようなことをすれば
いかにも芸人だという人間が絶滅寸前まで追いつめられている。
しかし、いまでも私の想像を超える芸人が
浅草周辺(距離はあるが)に存在。
それはまさに松本人志を超える
非常識にもほどがあるようで
世間一般の常識のなかをうまく泳ぎぬいて
さりげなくみんなに笑いを振りまいている人達ばかりなのだ。
テレビやネットに引っ掛からないのは
知らないというより
関心を持とうとしないだけなのだ。
私は以前に両国の永谷ビルの1階で行われた寄席に行ったことがあり
その打ち上げに行ったときに
浅草芸人の人間関係の濃密さを知ったことがある。
でもそれは封建主義の厳しい上下関係ではなく
ダメ加減を知った上で
それでも心を許し合える関係がなんとなく出来ていることに
なんとなくホッとしたような心地があった。
それは大宮で松元ヒロさんのライブを見たあとの打ち上げで
カルーア啓子さんからライブのチラシをもらったことが
きっかけだった。
その日のライブのトリは漫才協会会員のエルシャラカー二だった。
この楽しさを忘れていたのだ。
だから、この映画を見終えて思ったのは
いつかは東洋館に行きたいということ。
もっとも今は合唱団の関係で
自分の舞台のことだけで精一杯の状況。
それが終らないとどうしようもないのが残念だ。
最後に。
落語では「師匠」と「弟子」の関係が
漫才などの色物は「先生」と「弟子」になるそうだが
東洋館では先輩芸人を「師匠」と呼ぶことが当たり前に。
そんなユルさがまた心地よいんだな。