松戸市立病院の移転の是非を問う住民投票実現ならず 議会は「否決」

松戸市立病院の移転の是非を問う住民投票条例案は先週の木金曜日に臨時市議会が行われ、今日最終日の本会議が10時から行われた。

まず平林俊彦議会運営委員長から委員会報告があり、委員7人のうち5人が条例案に反対し委員会採決は「否決」とのこと。委員個々の賛否に関する理由が説明されたが
誰も質問せずそのまま議員討論に入った。
まず最初に市民クラブ(自民系)の岡本和久市議は、執行部と議会の長年に渡る議論の末に基本計画が決まったことを尊重し
計画の内容の1つ1つに賛否を問うことは、住民投票という方法ではなじまないとして条例案に反対した。
次に共産党の宇津野史行市議は、先の定例市議会で建設費などは今後さらに論議するといった付帯事項をつけて予算案が
可決したことが、議会の今後において市民に大きな不安を与えたとして民意を問うべきだと条例案に賛成した。
三番目のまつど未来(民主党所属)の長谷川満市議は、岡本市議と同意見で条例案通りに住民投票を実施しても
民意を問うことが出来ず、逆に新病院基本計画の頓挫や暗礁状態をまねき、市民全体が「賛成」「反対」で感情的対立を
招くとして条例案に反対を表したが、この時から100席のほとんどを埋め尽くした傍聴席から
「勉強不足」「何を考えているんだ」とヤジが飛びだし、一部の市議が傍聴席をにらみつける一幕もあった。
四番目の杉浦誠一市議は市民クラブを離脱したことを話したうえで、これまでに予想されなかった
住民投票を求める声は無視することはできないとして条例案に賛成の意を示した。傍聴席から多数の拍手。
五番目は社民党の二階堂剛市議。会派(社民党新社クラブ)の意見はまとまらなかったが、
個人として条例案に反対。市立病院の経営状態が悪化するなかで市民の命を守るためにも
市立病院の建て替えで国や県に速やかな支援を求めるためにも新病院基本計画を確実に推し進めるべきで
署名をしたらビラの内容が「移転反対」とかいてあったことで騙された気持だったという市民の声があったことや
独自の市民1000人アンケートで「あんな(現在の)病院ぶっ壊して民間に売った方がましだ」といった答えが
あったことから壊すくらいなら新病院建設のほうが良いのではないかと理由を述べたが、
傍聴席からは「嘘だ」「社民党の看板を外せ」「福島みずほもそう言ったのか」と怒号が炸裂した。
この後、同じ会派で新社会党の谷口薫市議は財政悪化が進んでいるのに、任期満了で川井敏久市長も多額の退職金をもらうといった矛盾を放置して
未来の子どもたちのために今の市政は何をやってきたのかと怒りをあらわにし、議会も現執行部の建て替えや移転に対する混乱ぶりに
多くの不信を抱いているとして、「この問題は市民全体に改めて問うべきだ」と訴え条例案に賛成し、傍聴席から大拍手を受けた。
無所属の中田京市議は、個人的には住民投票は賛成だ。住民の政治に対する意識が高くなることはいいとしながらも
今回の署名活動は「移転反対ありき」で住民投票はそのための手段ではないかとして「住民投票を実現させる会」のやり方に違和感を感じ、修正案提出も考えたが断念して
悩んだ末に条例案に反対したと語ったが、わけのわからない討論に傍聴席も困惑していた。
最後に無所属の高橋義雄、本郷谷健次(民主党所属)、山中啓之の三人の市議が揃って賛成を主張した。
その理由として執行部と議会との話し合いは移転候補地の調査から建設費の内容に至るまでそのプロセス面で
市民の多様な意見を聞いていないこと。
東松戸駅前は救急搬送に不安な面があり、移転予定地は現病院よりも敷地が狭い。
市長は去年6月に議会を無視して朝日新聞に「東松戸に移転決定」にリークしただけではなく、「広報まつど」ですでに新病院の建設は決まったという内容で誤った情報を市民に広めたのは大問題だ。(高橋市議)
また条例案を請求したことは「始めに反対ありき」ではなく、基本計画を知ったうえで松戸市民全体で十分に議論したうえで結論を住民投票で示すべきだと望んでいる多くの市民の思いが
約3万の署名の結果につながったということ。年齢性別を越えて署名に多くの協力をしてもらったことで
「未来の市政につながる問題は自分たちでも考えていこう」という意識を多くの市民がもっていることが明らかになり、決して無視をしてはいけないこと(山中市議)。
そして4年に1度の市長選と市議選だけでは、これらの意識を反映することができない場合があるのは当然であり、
欧米のみならず日本の自治体でも住民投票条例を制定する動きが出てきたことは時代の趨勢であり、決して異常なことではないこと。
この条例案を否決するならば市議会は解散すべきだと(本郷谷市議)という意見も出た。
しかし正午まえに突如起立による採決が強行され、
条例案反対の委員会採決が起立多数で可決。条例案は否決され住民投票は実現ならずに終わった。(自民系の会派とまつど未来、公明と社民が条例案反対、新社会と共産、一部無所属は賛成)
「議会は解散だ」「(討論しなかった)公明党のバカヤロー、何が福祉と平和の党だ」「柏に引っ越してやる」「市長のバカヤロー」「辞めちまえ」「市議選で落としてやる」「10年も何やっていたんだ」
もはや傍聴席からの怒号はだれも止められなかった。
そして何よりも、東松戸駅前にどうして移転しなければならなかったのか。建設費はどういう形で決まったのか。
なぜ私たち住民が目の前にいるのにもかかわらず「東松戸駅前移転」推進派の市議は自分たちの説明不足を詫びようとしなかったのか。それが一番悲しかった。
しかしまだこの問題は終わらない。
6月の市長選、7月の参院選、11月の市議選がある。
投票のための判断材料はできた。あとは直接行使あるのみだ。

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