コロナ禍で聞くべき言葉(ザ・ノンフィクションより)

「コロナって何だか 分かんねえや

 コロナコロナって

 ビクビクしてる人いるけど

 冷たい人間になっちゃうよ みんな

 人が倒れても 助けてやろうって人が

 だんだんなくなっちゃうよ

 関わりたくないって そういう人が

 多くなっちゃうよ

 人はふれあいが大事だよ

 触れて初めてしゃべってさぁ

 分かるんだから」

 

まさにコロナ禍で

社会全体がギスギスとして

殺伐とした雰囲気にあることを

ズバリと突いた言葉を表した人がいた。

 

8月2日にフジテレビで放送された

ザ・ノンフィクション

「おなかも心もいっぱいに はっちゃんの幸せ食堂」

その「はっちゃん」こと

田村はつゑさん(84歳)。

62歳のころから

桐生市で500円で食べ放題の

「はっちゃんショップ」を営んでいた。

地元のみならず周辺の他県からも

食べにきてくれるお客さんが多く

たくさんの出会いと笑顔に包まれて

赤字でも店を続けて多くの人々が

支えてきたのだが、

コロナ感染拡大による緊急事態要請で

4月から6月14日まで

閉店に追い込まれた。

その時に取材スタッフにつぶやいたのが

カッコ内のこの言葉だった。

 

はっちゃんは

幼い時に母親と死に別れ

10歳で魚屋に奉公に出された。

生計を助けるためだった。

しかし働きづめの日々で

学校に行けず

いまでも漢字の読み書きができない。

結婚して家族を支えて、やがて子育てを終えると

「このままで人生を終えたくない」と

スーパーカブで日本一周の旅へ。

そのとき宿がみつからない時に

助けてくれた恩人の親切に応えたいと

この食堂を開いたという。

 

「頭が良ければ

 何でもしゃべれるんだけどさ

 そういうのは

 良くないと思うよ」

 

ずっと周囲との関係を大切にして

多くのふれあいを築いてきた人だから

語ることの出来る言葉が

そこにあった。

理屈ではなくて

人生経験に基づく確信というべきか。

しかし、濃厚接触で感染が広まる

あのウイルスは

人が生きていくために必要なものを

ごっそり奪ってしまったようだ。

というよりも

この事態が起きるまで

私たちは本当に大事なものを

少しづつ消したり

脇に置いたりして

表面的な豊かさのみを

追いかけて来たのかもしれない。

 

はっちゃんは

6月15日から

食堂を再開させた。

はじめは客が少ししか戻らず

続けていくことに悩みが出てきた。

しかし県をまたぐ移動の自粛が解除された(7月4日)ことで

常連客が戻りはじめ、

しかもあの時の恩人が

東京に娘さんがいることで

初めて店に足を運んできたのだ。

これではっちゃんは元気を取り戻し

店にも活気が取り戻し始めた。

 

最後にもうひとつ

「人間はおなかが空いていれば

 イライラするよね

 そんじゃそのあげくに

 お金がなければ

 なおもっとイライラすると思うんですよ

 でもおなかだけでもいっぱいになってれば

 その人は幸せかなと思うんさね」

 

この言葉も当たり前だけど

忘れてしまう言葉だと思う。

どうかこれからもお元気で。

機会があったら行ってみたいなぁ。

 

きょうは75回目の

長崎の原爆忌

 

 

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