松戸アートラインプロジェクト2010終わる(6)

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旧・原田米店から、岡田ビル2階会場へ。

白い壁に窓が付いている。
それだけでは何の作品だかわからないが、
別の角度から見てみると

窓とは反対側に窓をつくり、
そこからは何もみえないようにした。
太田遼「阻まれてまで」という作品だ。
広いとはいえないビルの空間を白い壁でわざと広く見せて、
壁側に窓をつけることで錯覚を起こさせている。
これで外へ通じる本当の窓がなかったら、
まさに異次元空間そのものだったはずだ。
考えつくされた作品だと思いながら
昼食をとったあとに日大歯学部の松戸校舎へ向かうと、
図書館前でこんな風景。

本当の丸型ポストと勘違いするほどの作品。
山本麻里奈「丸型ポスト」
これには他の見物客からも
「山本さんのメッセージをこのポストに入れて送りたいけど、
 どうすればいいんだろう?」という声が出たほどだ。
山本作品はそれだけではない。日大校舎に入った時
「これも作品ですよ」とボランティアさんに案内してもらったのは、

ずばり、タイトルは「ゴミ箱」だ。
これも本物と勘違いするすごい一作だ。
日大校舎の会場は、教室という特殊空間をうまく活用して
映像と照明効果をうまく使った作品に出会った。
その1.「ジオグラフィカル シアター」戸田洋子
近くの江戸川土手を題材に、普段と違った視点で撮った映像を
対象的につけられた(教室を利用、前方と後ろに)スクリーンから流すことで、
3Dとは違った空間のイメージを実感してもらおうというやり方。
30分以上はここにいたくなる作品。
その2.「風景 森へ」斎藤ちさと
市内の相模台付近の地図をモチーフに
森や道路、住宅地などを全て記号化して
それを映像化させた作品。
なにげない町の風景が幾何学的になることで、こんなに新鮮さがでるとは思わなかった。
その3.「泊」松澤侑子
懐中電灯をもらって中に入ると中は真っ暗。
でも手すりを頼りに歩いてみると
小さな集団が並んでいるオブジェを見ることが出来た。
その小さな集団をじっくり見てみると、小魚だった。
水族館の水槽を小魚が群れをなして泳いでいるイメージだ。
「泊」というから、日本海にしたのだろうか。
この空間なら、ただ立っているだけの魚も泳いでいるように見えるから
技ありの作品。視聴覚教室の風景をうまく使っている。
その4.「時を紡ぐ〜Marks〜」戸井田雄

学校や公共施設の廊下がものすごく傷ついているのを見たことがあると
思うが、真っ暗にしてこの傷に光を当てることで
廊下にしみ込んだこの建物の歴史を感じてもらおうとした作品。
いきなり暗くなったときはわかりにくいが、
目が慣れると、廊下の傷がじっくりと浮き出てくる。
そこにカッターや彫刻刀では出来ない
歴史の跡が見えてきた。
この校舎は現在使われていないが、だからこそこれらの作品は昔の学校の風景をうまく生かして
自分たちが生きてきた時代を蘇らせてくれた。これは有難いことだ。
(つづく)
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