終戦記念日の前日に「戦争×漫画1970~2020」を読んだ。

13日、眼科検診を終えて

茨城・つくばなどに行き

最後に自宅近くの書店で買ったのはこれだ。

昨年6月に発売された

ビックコミックオリジナル特別編集「戦争×漫画1970~2020」だ。

以前、他の戦争を伝える漫画を読んできたが

shiraike.hatenablog.com

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この漫画集は戦争について

様々な角度から考えることで

いまの時代への警鐘を鳴らす構成になっていた。

水木しげるさんや松本零士さんの戦記ものから

近未来への戦争を予測させる作品があった。

(あまやゆうき+吉田史朗「僕はあの歌が思い出せない」)

ネット社会とバーチャルリアリティーを組み合わせて

さらに世論形成による国民誘導という、

昔もやっていたことだが

「賢者は歴史から学び、愚者は経験から学ぶ」を知らないと

再び「いち国民」たちは激しい犠牲を負わないかぎり

気が付くことがない。

それを「20年前に聞き続けてすっかり好きになった歌」に

なぞらえたのだ。

ちなみにこの漫画を含めた収録作品の多くは

ビックコミックオリジナルの戦後70周年記念号に載せられていたもので

当時は2015(平成27)年。佐村河内守騒動のあとだけあって

その歌をつくった人物は契約の関係でゴーストライターにさせられて

佐村河内そっくりの別人が華々しく表舞台に出ている場面が皮肉だった。

また、いつの間にかに

中国と日本の領土がそっくり返っていたというSFながら

こどもを主人公にしたコメディー風の作品は

驚きながらも笑ってしまった。

花輪和一小日本鬼子穴」)

そして、他の作品でも比較してみることができるのは

「また日本が戦争したらもうおしまいだ。」

「日本が戦争したら朝鮮のように南北分断があるかもしれない。」

ということだ。

アメリカと中国の対立は両者ギリギリのところで抑えられたが

ペロシ下院議長の台湾訪問で緊張状態が増してきた。

防衛のためだといいながら軍事力を強化しても

自らがこの緊張を緩和できないとしたら

将来そうなってもおかしくない。

作品を描いた側はちゃんと現実を見ているのだ。

だから

「この自由を奪われたら日本は終わりだ」。

同意できる。

なお、漫画だけでなく

藤田嗣治の「アッツ島玉砕」(油彩・1943年)を

はじめてピンナップで見ることができたのも大きい。

あと、「がきデカ」で有名な

山上たつひこの初期の名作「光る風」を1章だけ収録されたが

単行本を買ってみようか迷うほどの衝撃だった。

また高橋しんのヒット作「最終兵器彼女」の外伝ものも凄かった。

(「LOVE STORY ,KILLD」)

値段は2200円と高いがそれだけの価値がある1冊。

戦争本が苦手な人におすすめです。

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