「表現の不自由展・東京」最後まで完走できた!(あいちトリエンナーレのその後も)

最後まで走り切ることが出来てよかった。

携わった関係者はみんなそういう思いで

いっぱいだったと思う。

先月の2日に行ってきた

表現の不自由展・東京に関する記事が

25日の東京新聞朝刊に載っていた。

「不自由展は、自分たちが暮らす社会で行われているのに

 気づきにくい自己規制や検閲を、目に見える形にする展覧会。

 検閲とは一般に公権力が表現を規制するという意味で知られ、

 日本国憲法(以下憲法と略)で禁止されている。

 だが、表現する人と、表現を受け取る人の交流を遮る行為と

 とらえれば、今でも起きている。」

(実行委員会共同代表の岡本有佳さんがインタビューに応えて、

 下のHPも参照。)

 

www.tokyo-np.co.jp

2015年に初めて東京・江古田のギャラリーで開催された

不自由展で展示された作品を見た時に

「どうしてこれらの作品が展示できなくなったのだ。

 よくわからない?」と感じた。

それから3年前、安世鴻(アン・セホン)さんの

「重重」展が右翼の妨害や会場を運営先のニコンから

中止を受けて、民事裁判が起きた時に

何度も東京地方裁判所(地裁)に足を運んで

憲法で保障されている「表現の自由」は

少しづつ時の政権の見えざるチカラによって

壊されていく恐怖も感じた。

なんてこともない世の中で

新たな日本におけるタブーが作られて

私達が危険な方向へマインドコントロールされていくことに

気が付かない。

その警鐘が不自由展の作品で数多く見られたが

これらはまさに時代の真理を突いていた。

それも50年以上前からそのようなことがあったのにも関わらず、

誰も関心が及ばないようにされ続けてきた事実も

今回の東京展(赤瀬川原平さんのニセ千円札など)で

観ることができたのだ。

kotobank.jp

東京展は昨年6~7月の開催予定だったのが

会場周辺を右翼街宣車がつきまとう行為がエスカレートして

中止に追い込まれ、名古屋展も会場に破裂物が郵送されたことで

途中中止に追い込まれ、大阪展に至っては

会場「エル・おおさか」を運営する府立労働センターが

利用許可を取り消し、実行委員会が開催日までに

取り消し無効を民事訴訟で勝ち取って開催までにこぎつけた。

果たしてこれらをもたらしたものは何なのか?

正解はないのである。

これらをやらかした面々は実行委員会に対して

納得のいく説明をしないまま

妨害や同調圧力などで、不自由展を

「なかったことにする」としたからだ。

しかしあいちトリエンナーレで起きた不自由展を巡る騒動や

その後に起きた大村秀章愛知県知事のリコール捏造事件で

とうとう不自由展そのものが

マスコミ報道などで世間の関心を浴びて

「なかったこと」にできなくなった。

安倍晋三がコロナ禍で総理の職を投げ出したこともあるが)

shiraike.hatenablog.com

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これが東京展を半年延期して

開催にこぎつけた「大きな流れ」になったと

私は勝手にそう思っている。

そして会場を提供した国立市の尽力も大きかった。

「規模の合う会場を絞り、国立市が挙がった。

 都内有数の文化都市で市民活動も盛ん。

 私たちと連帯できる地元市民もいた。

 市の『人権を尊重し多様性を認め合う平和なまちづくり基本条例』も

 展示の趣旨に沿う。」

「そこで開催の半年前から

 市や会場関係者と協議を続けた。

 防犯態勢など課題を一つ一つ話し合い、

 議事録を作り、合意形成した。

 会期前の妨害を防ぐため、直前まで告知を控えた。

 一方で一人一人に声をかけてネットワークをつくった。

 作品の一時保管、会場スタッフ、ごみ処理…。

 あらゆる点で国立市民の協力なしには成り立たなかった。」

(岡本氏、一番上のHPより。)

mainichi.jp

東京展は成功(4日間で1600人が来場)した。

マスコミ報道でもわずかながら取り上げられ、

開催を支持する声も会場に多く寄せられたこと、

また延期をもたらした妨害の容疑者の逮捕もあった。

ウクライナ情勢の悪化は世界的な文化・芸術さらにスポーツでも

大きな影響をもたらしている。

(NHKのロシア語講座の中止など。)

news.yahoo.co.jp

だからこそ表現の不自由はどこにでもあるし、

それが目に見えないところで起きていることに

もっと関心を持たなければならない。

不自由展が開かれる意義は大きいのである。

shiraike.hatenablog.com

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(追記)あいちトリエンナーレ名古屋市の支出拒否をめぐる訴訟で

愛知県が勝訴したが名古屋市河村たかし市長が納得いかないとして

控訴することにした。

しかし、展示作品は「違法ではない」との

判決(名古屋地裁)が出たのは大きいのだ。

www.tokyo-np.co.jp

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