もうひとつの8月9日(戦争の記憶を風化させないために)

「八月は六日九日十五日」

きのう買って読んだ日刊スポーツで

大谷明宏さんの「ブラッシュアップ」の最初に載っていた

俳句。この季節になれば必ず戦争の歴史を振り返り

その記憶を風化させることなく平和の誓いを新たにする。

これが歳時記のように繰り返られて76年になる。

9日は長崎市に原爆が投下された日、

平和祈念式典では田上富久市長が平和宣言の中で

核兵器禁止条約の署名と批准を政府に迫る内容もあった。

(スガ首相はガン無視どころか式典に1分遅刻して顰蹙を買った。)

 

しかし大谷さんは

「9日にもう一つ加えて欲しい」

それはこれなのだ。

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2年前に三ノ輪橋(都電)近くの古本屋で買った

「戦争ー1 蒼い記憶」(監修・藤原彰 まんが・まさきまき)より。

蒼い記憶 満州開拓と少年たち : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

8月9日は日本と中立条約を結んでいたソ連(現・ロシア)が

突然満州中国東北部)に侵攻した日でもあるのだ。

 

この漫画では東北の農村部で育った2人の少年が

戦争の拡大の中でその運命に翻弄される物語になっている。

親友同士が片や故郷に残り、もう一人は満蒙開拓少年団(青少年義勇軍)に入って

大陸へ。そして8月9日を機に逃避行へ、

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しかしそこは地獄さながらの状態でその少年は

ソ連軍につかまり捕虜に。そこで敗戦を知る。

栄養不良と寒さの中で体が動かない中、

雪が小屋に入ってきた。それを掴んだとき

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生きて帰る、満州であったほんとうのことを伝えるために、

ここであったこと、見たことを。

 

故郷に残ったもう一人の少年も

必ず親友が帰ってくることを信じて、

 

「はやく帰ってこい

 そして話をしようじゃないか

 オレの見たこと

 おまえのみたこと ほんとうのことを」

 

あの日から戦争の事実を重く残酷に突きつけられ

生きるために、そして愛する者たちに

再び会うために、日本を目指して歩き続けた人が

たくさんいる。しかしその途中で命が奪われ

家族同士が引き裂けれた人もたくさんいる。

8月9日はこの歴史が始まった日でもあることを

これからの世代に記憶として残してほしいと

大谷さんはこう文を結んだ。

 

あの大きな戦争は様々な出来事が交錯して

その記憶を遺すことが難しくなっている。

まして満州からの引き上げ経験がある人も

原爆の被爆者同様に少なくなっている。

知ることと考えること、そして伝承することを

どう深めていくか、

まだまだやらなければならないことが多い。

(つづく)

菅首相、長崎原爆式典に1分遅刻 被爆者団体から批判の声:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

家族の被爆知らずショック 体験聞き、受け継ぐ大学生:朝日新聞デジタル (asahi.com)