3回のホットラインが生かせなかったのか!熱海伊豆山の土石流被害!

きのうに続く形で

熱海・伊豆山地区の土石流災害のこと。

建設残土をもち込んだことや

メガソーラーをつくったのが悪いとか

ネット上ではいろいろと意見を戦わせているようだが

私がもっとも気になったこと。

それはいつ「避難命令が出されていたのか」ということ。

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「危険度最高」避難に生かせず 気象庁OB「市にもっとプッシュできていれば…」<熱海土石流>:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

7日の東京新聞朝刊2面の「核心」

ここでは2日に熱海市を含む

神奈川県から静岡県を襲った集中豪雨(線状降水帯)から

3日の伊豆山の土石流直前までの

静岡地方気象台熱海市との「ホットライン」について

検証している。

 

最初のホットラインは

2日の7時40分頃で「土石災害警戒情報を出す可能性」。

2回目は12時29分。

「まもなく警戒警報を出す。」「避難指示を検討するような状況。」

その1分後に土石災害警戒情報が出る。

この時に熱海市は伊豆山地区に避難指示を出しても

おかしくないと思うのだが、

翌日の深夜3時に

気象台が土石災害の危険度最高「極めて危険」と出したのに

ホットラインは使われなかった。

そして夜が明けた9時4分に

3回目のホットラインがあったが、

なんと「雨は一時弱まるが土壌の水分は多い」

「引き続き厳重な警戒は必要」

の程度しか流さなかった。

土石流が発生したのは

それから約1時間半あとの10時30分過ぎになる。

さらにもうひとつ、

静岡地方気象台の「キキクル」では

3日の深夜2時20分の時点で

熱海市から伊豆半島を突き抜けて

三島・沼津・富士・静岡市まで

極めて土石災害の危険が高い

「濃い紫色」に染まっていた。

 

つまり熱海市は2日の時点で

避難指示を出せるチャンスがあったのにもかかわらず

それを見送って、3日の朝のホットラインで

引き続き警戒のレベルでの情報を真に受けて

土石災害の危険性が高かったことを

認識していなかったということになるし、

気象台も3日深夜の時点で危険だとわかっていながら

熱海市に情報を流せなかった事実も重要視できる。

 

「ただちに避難させるべきだった。

 気象台もプッシュした方がよかった。

 市との意思疎通はどうだったのか。」

「(土石災害の危険など)

 発表される情報の種類が多く(情報新設などで)

 変わり過ぎ。かゆいところに手が届かない。

 今回の濃い紫は、私がいたらもちろん市役所に行き

 絶対(避難を)プッシュする。

 そこで人間が必要。最後は人と人です。」

このコメントは以前あった網代測候所の元所長

平沼洋司さん(77歳・記事より)

伊豆半島地震が多いことから

測候所と市役所の職員の関係は密接で顔が見える関係だったと。

しかし測候所は2003年、人員削減と業務効率化を理由に

廃止された。

となれば、深夜に気象台が情報を流しても

熱海市に強力な「避難指示の必要性」をプッシュすることは

出来なかったのも仕方はないと解釈できるが

これでは人員削減で保健所をなくしたら

コロナの大量感染に行政が全く対応できないのと

同じになってしまったということではないか。

 

今回の惨劇で行方不明者が多いことから

64名の住民の名前を熱海市は公開したが

やはり一番やるべきだったのは

躊躇なき避難指示とそのために

昼夜を問わない「備え」への対応ではなかったのか。

これは熱海市の問題だけではないのだ。

きのうの朝、島根の松江・出雲・雲南市

豪雨に伴う避難指示を出している。

から振りに終わっても

住民の命を一番に考える姿勢を出したのは

大いに評価できる対応だった。

法律の改正で避難から「勧告」がなくなった以上、

指示を確実に早く出せるか、

そして住民である私たちはその情報を確実に受け止めて

「命を守る行動」へ迅速に動き出せるか。

高齢化社会という現実の中で

みんなが問われる最大の課題なのである。

 

島根・鳥取で記録的大雨、48万人に避難指示:朝日新聞デジタル (asahi.com)

 

 熱海、流出の土砂は主に盛り土か 土木学会が現地調査:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)