「黄色いハンカチ」講演会「コロナ禍と福島被災」

(きのうのブログのつづき)

2019年度と今年8月までの

東日本大震災復興支援松戸・東北交流プロジェクト、

「黄色いハンカチ」の報告会は

昼食をとったあとに

講演会が行われた。

講師は田島直樹さん。

市民の立場で「甲状腺被ばくを学習する会」を立ち上げ

このプロジェクトには「福島の新聞が読めるから」ということで

ひんぱんにサロンに来ることが多くなったことから

今回の機会となったそうだ。

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(写真中央が田島さん、左はプロジェクト共同代表で被災者の佐藤利雄さん。)

約1時間の講演と座談会だったが、

どうしても内容はコロナウイルスに関することが多くなった。

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まず、コロナウイルス放射性物質の相違点。

自然的と人為的(原発事故が起きた場合)、これは大きな違い。

しかし、目には見えない、誰にも差別しない、

そして社会的被害を大きく負うことがあるのが

大きな共通点だ。

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そして肺炎のメカニズム(コロナが発病して重症化するまで)の

説明のあとで、コロナのワクチンについて

国際的な開発競争の状況と

インフルエンザワクチンの接種はどうなっているかと。

副作用の関係で強制ではないが、60~65歳以上は

優先接種が10月からあるとのことなので、

田島さんはワクチン接種をする予定だと。

コロナとの関係があると、これがベストの選択に

なるかもしれない。

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コロナで肝心なことはワクチンが出来ることにより

「病原体ひとつひとつに合わせた手裏剣のような武器」である

「抗体」を準備するための「免疫細胞」をつくることが

可能になるわけだが、

これがインフルエンザのようなわけにはいかないから

来年になってもできるだろうか、

あるいは欧米に認可されたワクチンを

そのまま第三段階、いわゆる人に対する治験を

早く進めるとかという話になってしまう。

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そして、秋から冬にかけて予想される「第二波」について、

ウイルスそのものは弱毒化していないが

感染源を抑えることや治療手順の確率によって

発病からの致死率は低下しているのも事実である。

だから、同時流行には個々で対策を打つ必要(ワクチン接種含めて)が

あると。

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(ワクチンの注意について。講演は紙芝居方式で行われた。)

さて、福島被災と放射性物質の問題に。

やはり、あの時の事故で

放射性セシウムが大きく取り上げられたが、

実は同じ放射性の「ヨウ素131」が

甲状腺に与える影響が、

とくに子どもたちに与えることが大きいと

不安視されていた。

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しかし、当時は事故現場から半径30kmにいた

すべての住民に対する甲状腺検査が十分に行われていないこと。

また事故直後に服用すると被ばくの予防になる

安定ヨウ素剤」の配布が

各市町村によってまちまちになっていた事実だ。

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メルトダウンを必死に回避させた自衛隊と消防隊員は

出勤を前に安定ヨウ素剤を服用したことで

内部被ばくを防ぐことが出来たのに

では当時の被災者はどうだったのか。

じつは福島県の県民健康調査検討委員会は

いまだに結論を出さないまま。

一時は影響に対する証拠は認められないと出したどころか、

「過剰診断論」まで出る始末だ。

これには参加者からも

「コロナ(のPCR検査)と同じじゃないの」という

声も出た。

なおこれまで委員会による検査は4回行われたが

4月に行われる予定の5回目はコロナの影響で

ほぼ中止状態とのこと。

 

座談会では

「新しい復興相って誰だっけ?名前が出ないよ。」

(下の写真を参照)

「(双葉町に出来た)伝承館じゃ

 国と東電の批判が語り部で出来ないって。

 あれは許せない。」

「新首相は官房長官のころに

 ダムの治水管理について柔軟に運用出来る(緊急放水)ように

 した。もっと防災に力に入れてくれることを

 期待したい。」などの

たくさんの意見が交わされたが

願いは一つ、コロナも震災復興も

明るい方向に向いてほしいことだと

互いに確認しあって会はおわった。

 

最後に、

このプロジェクトは

復興庁の「福島県外避難者帰還・生活再建事業」の補助と

会員とその他の寄付・カンパによって

運営されているが

前者は2020年度で終了する予定になっている。

福島県としては今後も続けていきたいと

 いってますが、どうなるでしょうか。」

会に来ていた千葉県社会福祉協議会

復興支援員が言っていたが

来年からは国どころか福島県からの

補助金が来るかどうかもわからないと。

ちなみの新首相は記者会見で

「復興支援」についていっさいを語らず

後になって慌てて復興相に弁解させ、

本人は福島第一原発などを緊急訪問して

「火消し」に努めていたようだが、

そこには県外避難者に対する

目線が一切ない。

 

ちなみに福島第一原発廃炉作業から

出てくる汚染水の海洋放出について、

全漁連は反対表明を示した。

いまの政府は

福島に対して根本的な

復興策を示していないから

反発の声が大きくなるのだ。

 

 

 

これは許されることではないのだ。

 

(おわり)

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(27日付「日刊ゲンダイ」より・松戸の隣の東京都葛飾区が地盤だ。)

 

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