翻訳がもとで一流の人材が貶められる=「差別」

東京新聞特報面の

26日の本音のコラムでは

文筆家の師岡カリーマさんが

「これは!」と納得させることを書いてくれた。

それは翻訳に関わる問題だった。

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オペラの名作「椿姫」で

主人公ヴィオレッタはパリ社交界の華であったのにも関わらず、

良家のボンボンだったアルフレッドの求愛を受け入れて

同棲したときに、一部の日本語訳では

ルフレッドに対してやたらに丁寧な敬語を使う。

自分がアルフレッドを養っているのにも関わらずにだ。

 

最も、いまの世相では

ヴィオレッタは売春婦だから

小泉進次郎のようなアルフレッドに敬意を表して

当たり前だろうという人が多いかもしれない。

しかし、師岡さんは

このような翻訳が

「男尊女卑の刷り込みの痕跡が働いたのは明らかだ」として、

それが現代のスポーツ選手や芸能人と

一国のトップとの

「印象操作」による

誤解や偏見による新たな差別を生み出す原因になっていると

分析している。

 

たとえば前者の場合、文末に必ず

「~なんだ」「~さ」とか

女性ならば「~だわ」「~なの」というやり方が

多用されている。

普通ならこれが

「親しみやすい」とか優しい印象を与えるとかがあって

いいんじゃないと思うかもしれない。

 

ところが、

知的で丁寧な口調で話していても

このように訳されると、

「結果的には彼らの存在を不当に軽く見せ、

 挙げ句『運動選手や芸能人は政治的発言を慎め』

 と言われる。」(本文より)

あのアメリカのトランプ大統領

言語的にも内容的にも稚拙なのに

日本のマスコミは余程のことがない限り

丁寧な日本語に訳されるのとは

対照的であり、

その犠牲にあったのは

同じ日本人であるはずの

プロテニスの大坂なおみ選手だったのだ。

 

そういえば、あの菅首相

トランプ大統領と初会談したときに

24時間いつ電話してもいいと

親密な関係をアピールしたときに

「テル、テル」といってたが、

ちゃんとした英語がわかっている人なら

「You may call anytime for 24 hours.」

が正しいことは知っている。

もとから英語の使い方が間違えていて

それを向こうが容認したとしたら

バカにされたことになるのに

日本のマスコミは

それを指摘しないまま、

そのまま伝えている。

私たち自身の知的および教養のレベルが

大きく堕落しているのだ。

 

だからこそ師岡さんは

職業差別をしないで

「よほどスラングだらけのくだけた口調でない限り」

同じように和訳してほしいと。

まさにその通りだ。

 

問われるのは発言した人物の

頭の中身であり、

肩書ではないはずだ。

 

27日、ニューヨークタイムズ

トランプ大統領が、就任前の15年のうち

10年にわたって所得税を納めていないことを

スクープ報道したが、

日本のマスコミは「フェイクニュースだ」と

本人のコメントを小さく伝えただけ。

実際はどんな反論をしたのかは

よほど英語が出来る人じゃない限り

関心を持つことは

出来ないだろうなあと思う。

 

 

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