現代アーチストセンター展を見に行った

もう10年以上前に

写真集「GROUND ZERO 希望の神話」

の写真展を長崎ピースミュージアムで見て、

それ以来年賀状を送り続けている

写真家の宮角孝雄さんが上野の東京都美術館で行われている

第48回現代アーチストセンター展に

参加するとの葉書をいただいたので、

26日に行ってきた。

宮角さんの作品は原爆ドームを背にした

「祈り」の黙祷。そして

被写体である被爆者とその2世、3世の

語りが添えられている。

ハワイから家族で広島に帰郷したときに、

父親が米軍の捕虜で広島に収容されたときに、

被爆3世で自らの店で語り部の会を開きながらも

2017年に肺がんで永眠したバーテンダー

上半身を裸になって背中のケロイドを見せた

老齢の男性。

学徒動員でじゃんけんに勝って

8月5日を選んだのが自分の運命を分けた。

もしも6日だったらピカの爆風で死んでいた。

動員先が爆心地から200m。

それが重荷になって

同窓会に参加できるまで

54年もかかってしまった。

今年のテーマは「2020ヒロシマ」。

オリンピックの年だからこそ

平和とは何かを問いかける作品で

「今と未来に繋げる挑戦」(チラシより)

を試みたということだった。

f:id:shiraike:20200127230254j:plain

宮角さんの作品のほかにも

安倍首相の口に警戒テープでバツを貼り

その画の下には放射性廃棄物のドラム缶。

その中には黒塗り文書とシュレッダーされた

ゴミがいっぱい。

他には

「いらないもの」と題した作品。

紙袋にゴミを入れて閉じたのを

放射状に並べたものや、

長野で戦時中に作られた

松代大本営・象山地下壕で掘り出された

ズリ(岩石)を重しにして

ゴム糸をピンをはって

それが何か一つの部屋の敷地を表したような

作品もあった。

それはまさに地下壕の空間の狭さを

指し示しているような感じだった。

牛の骨格と心臓のみを実体化して

福島第一原発事故の被害を連想させる作品もあった。

その一方で共同プロジェクトで作られた

大きくてまんまるいダルマもあった。

そこには「福幸」の字もあった。

改めて平和とは

人と人とのふれあいと思いやりから

生まれてくるものであることを

考えさせられた。

ちなみに東京都美術館

戦時中は戦争美術の展覧会が行われ

そしてあいちトリエンナーレ「表現の不自由展」でも

話題になった中垣克久氏の「時代(とき)の肖像」。

この一部が削除されたのもこの美術館だった。

この日本における

表現の自由はこれからも

知らないうちに大きな制限や制圧が

起こりうる危機がある。

だからこれからも

静かに作品で訴える時代の叫びを

より多く見つめていきたい。

426hiroshima86.wixsite.com

www.peace-miyakaku.com

shiraike.hatenablog.com