ハンセン病家族を含む差別をなくす方法とは?

11月15日、ハンセン病家族を補償する法律が

桜を見る会」疑惑で国会が沸騰しているなか、

参議院本会議で全会一致で可決され成立した。

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本人に関わる一親等の親族に180万円、

二審等から三親等には130万円。

対象には戦前の台湾や朝鮮半島に住んでいた親族にも拡大し

訴訟中に死亡した原告には「名誉回復一時金」を支給するなど、

ずいぶん太っ腹な補償になったが、

問題は今後政府がどのように

ハンセン病家族が受けた差別を解消される政策をとっていくかなのだ。

上の写真は14日付東京新聞こちら特報部」の記事だが、

夫が元患者で32歳の時に社会復帰して

隔離先の職員だった妻と結ばれたが、

住んでいた団地で自分の過去を話せなかった。

うわさ話にも神経を使い、いつ団地を追われるのではないかと

ビクビクしていた。また子どもたちにも

差別的なことをやられて、自宅に遊びに来る友達も減った。

自身の父親が亡くなったときも夫婦揃って参列が許されなかった。

この悲しみを払拭されるにはどうしたらいいのか。

夫・石山春平さんは全国の学校で講演活動を通じて

ハンセン病に対する差別と偏見をなくすための

行動を続けているが、

これからは国が教育や社会的啓発をさらに進めていくべきでは

ないのか。

例えば道徳教育の中でこの問題を必ず教科書に入れて

学校の中で積極的にやらせるべきではないのか。

また元患者が高齢化するなかで

直接証言が得られる機会がないのなら

映像アーカイブスで記憶する方法があるのではないか。

しかし今の時点ではそれが期待できない。

なぜならこの法案では

「補償」ではなく「慰謝料」という

ぼかした表現でカネを支給しようとしている。

しかも責任については

「国会および政府」としているが

これは大きな間違いなのだ。

責任はあくまでもハンセン病にたいして

古い「らい予防法」を振りかざして

隔離絶対を貫いてきた結果、

「強制収容しやすいように、

 国は『感染力が強い』と誤った情報を流した。

 昔は皆知識がなかったから、信じる人が多かった。」

(春山さんのコメント、記事より。)

安倍政権の閣僚はおしなべて

このような偏見や誤認に満ちた発言をするような

人物ばかりだから、

絶対に悪いのは国ですとは言わないし

結局元患者は当時の国家には役に立たない人間だったと

開き直った態度で逃げ通すことは確実である。

そして一番の問題はマスコミだ。

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16日(15日深夜)のTBS「NEWS23」では

たった1分弱しか取り上げなかった。

しかも「補償金が出たからよかったね」といった

薄っぺらい内容だった。

政治がダメならジャーナリズムの出番なのに

これでは元患者の遺族と家族は救われることはないだろう。

なんとも空しい結果である。

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